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自転車操業だった近未来通信に未来はあるか。


 先月、近未来通信のTVCMが流れたのには驚いた。
さすがに大物女優を使った以前のCMではなかったが、間違いなく近未来通信のCMだった。
驚いた理由はまだ同社のCMを受ける広告代理店、放映を許可するTV局があったということにである。
 全国ネットの局で現在同社のCM放送を受けるところはないはずだから、放映したのはローカル局に違いない。
それにしてもよほどの無頓着か、よほど情報に疎い局なのだろう。

 近未来通信が東京国税庁から所得隠しを指摘され追徴課税を受けたことは、すでに8月30日付の「栗野的視点」で記した。
その際に「もしかすると詐欺罪で摘発されるか、破綻するかどちらかではないか」と指摘し、要注意の理由もいくつか挙げておいたので、まだ読まれていない方はまずそちらを一読していただきたい。

 読んでもらえば分かると思うが、普通の感覚なら同社のTV広告は恐ろしくて引き受けられないだろう。
不良債権になるのがほぼ確実な状態で受けるなんてことはまともな神経ならとても考えられない。
まあ前金キャッシュで受けるという手もあるが、現在の同社にそこまでできる資金はないに違いない。

 問題は放映したTV局の方だ。
いくらローカル局とはいえ、金さえもらえばどんな広告でも放映するわけではない。内部審査基準があり、それにパスしなければ放映できないはずだ。
追徴課税ぐらいだから大丈夫と踏んだのかも知れないが、それは同社の内実をよく調べなかったからに違いない。
第一、ネット局が受け付けてないのだから、その理由をちょっと問い合わせてみれば分かったはずだと思うが。

 近未来通信の売り上げは表向きにはIP電話の利用料によるものが主となっているが、実際には中継局オーナーから得られる資金が中心で、それを中継局オーナーへの配当金に回しているというのが実態だ。
まさに自転車操業で、新規オーナーを募集し、そこから得た資金で以前のオーナーに配当をし、いかにも収益が上がっているかのように装っているわけだ。
 よくあるフランチャイズ加盟店募集と同じで、加盟店を募集して加盟金を集め、その金を自己資金、あるいは売り上げと勘違いして使い、やがて破綻というのはよくあるパターンだ。

 すでに同社は最後の段階に入っているように見受けられる。
やはりダメージを受けたのは東京国税局から追徴課税受けたとのマスコミ記事だったようだ。
あの記事が出た後、中継局オーナーからの問い合わせが増え、その対応に追われていた。
 流入資金も先細ったようで9月以降すでに2回もオーナーへの配当金支払い延期をしている。

 気になるのが今後の動きだが、10月は各地で説明会をかなり頻繁に開いている。
目的はオーナーへの事情説明なのか、それとも先細った資金を得るため、中継局オーナーの募集もしているのか。
このような現状でも情報を知らない、あるいはうまい話に乗ろうとする人は結構いるもので、過去随分話題になったネズミ講やベンチャー株式投資という名の詐欺行為にも、よくこの期でも騙されるねと思うほど最後の方で騙される人がいるのは不思議だ。
人間欲の皮が突っ張ると実態が見えなくなるのだろう。

 近未来通信関係では(株)トッププレイヤー(旧近未來システムサービス)が10月23日に破産手続を開始した。
このままいけば近未来通信の破綻も近いだろう。

 最後に栗野流の危ない会社の見分け方を。
 1.大風呂敷を広げるところは危険。
 特に起業間がない、あるいは事業展開間がないのに、この商品の市場はン兆円という会社はほぼ間違いなく失敗している。
捕らぬ狸の皮算用はしないことだ。

 2.分不相応な広告をしているところ。
 初期段階は営業に力を入れるべきで、有名タレントを使ったり、有名人との交友を自慢する人は本業に力が張らないからほぼ間違いなく危ない。

 3.情報開示をきちんとしないところ。
 今回の近未来通信もそうだが、商法に義務付けられた公告をしてない。
そういうところはほぼ間違いなく粉飾をしている。
近未来通信も4月から7月までの4カ月間で中継局オーナーからの入金(サーバー売上高)が70億円あるのに、年間39億円と少なくして投資家に説明している。
 結局、減らした分電話利用料に回し、電話利用料を多く見せて、オーナーに配当がどんどん見込めると思わせていたようだ。


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

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