Google

 


当初から怪しさを感じさせていた近未来通信


 大地真央を使った派手なCMを行い、インターネット通信を利用したIP電話を販売していた近未来通信が東京国税庁から総額6億8000万円の所得隠しを指摘され、2億3000万円の追徴課税を受けていたことが発覚した。
 実はこの会社、どうも実態がよく分からず、以前から要注意に分類していた。
端的に言えば、もしかすると詐欺罪で摘発されるか、破綻するかどちらかではないかと感じていたのだ。

 なぜ要注意だと思ったかというと、
1.中継局提供オーナー募集広告ばかりで利用者募集広告・チラシの類を目にしたことがない。

 収益は電話の利用料から上げ、それを中継局を提供するオーナーに配当すると謳っているように、この種の事業はIP電話を使ってもらって初めて収益を生むのだ。
となると一方で利用者像のために利用促進活動に力を入れなければいけないのに、そちらに力を入れている(している)風が見えない。
 フランチャイズ募集をして保証金を集めることにばかり力を入れ、実際の商品の売り方や代理店の営業指導などは一切しない、またできるだけのノウハウも持たないのにフランチャイズ募集をするところがよくあるが、あれに似ている。

2.同社の支社が東京、関西、九州しかなく、中部、東北支店などの開設は平成17年以降である。

 いままで同社の募集広告を注意して見ていたが、中継基地局のオーナー募集説明会を主にやっているのは九州で、次いで関西だった。
関西人はもともとフランチャイズ募集に興味を示す人柄だから分かるが、九州での説明会が最も頻繁に開かれている理由は中継基地局をたてるための土地等不動産所有者が多いという点と、純朴な人が多い(言い方を変えれば、楽してちょっと小金を稼ぎたいと思う人が多いということだ)から騙しやすいということだろう。

3.利用者が増えてはじめて会社が回っていくはずなのに、当初から有名タレントを使った派手な広告を行っていた。

 大体派手な広告をするところは常に要注意。中身より外観に拘る経営者が多い。

4.IP電話通話料のメリットは双方が同じIP電話を使って初めて享受できるのであり、利用者増が普及の決め手になる。
 にもかかわらず、利用者増を図っている動きが見えなかった。


5.IP電話はすでに既存電話業者も参入しており、後発組が新規設備投資を伴って参入するにはリスクが大きすぎる。

 光ケーブルの普及に伴い、NTT、ヤフー、KDDIなどの既存電話事業者がすでにIP電話事業に参入している。
 既存各社の場合、それまでの顧客数を含め既存インフラを利用できるメリットがあるが、近未来通信のような後発組の場合は新規顧客数確保の点で苦戦する。
そこにもってきて固定電話の利用率は減少傾向にある。

6.スカイプが急速に広がりを見せる中、わざわざIP電話を単独契約する需要があるとは思えない。

 一方、設備投資を伴わずパソコンとスカイプという無料ソフトさえあれば同じスカイプ利用者同士なら無料、携帯電話、一般電話にも安くかけられるスカイプの利用者が急増している。
 スカイプ利用者が近未来通信の電話に替えるとは思われないし、近未来通信に変更する程のメリットが提示されてない。

 こう見てくると、結局、同社がやっていることは自転車操業であり、オーナー募集が滞ったときに自転車の回転も止まるのではないだろうか。
いずれにしろ今後の成り行きが注目される。

                                           2006.8.30


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る