栗野的視点(No.842) 2024年11月24日
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前立腺がんの手術で20日以上の入院は長すぎる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前立腺ガンが発見されてから6年間経過観察だけで過ごしてきた。経過観察とは治療を何もせず、3か月に一度血液検査、尿検査をしPSA(前立腺ガン腫瘍マーカー)の数値を確認するだけで、その他に半年に1回CT検査、1年に1回MRI検査をし状況を詳しく診ていく。
経過観察のみで行くと決めたのは自分からで、医師からは手術か放射線治療を勧められたが拒否してきた。
私の場合、妻と弟を膵臓ガンで亡くし、私の膵臓にも嚢胞(のうほう)が見つかっている。これがいつ悪性腫瘍になるか分からないという懸念がありMRIでは嚢胞の変化を常に見ているが、今のところそちらの変化はなく来ている。
前立腺ガン発見から6年間経過観察だけで来た患者は担当医にとって初めての経験だったに違いない。
ただ6年間、PSAの数値は緩やかに上向いてはきたが、このままでもいいのじゃないかという思いがあり、3か月に一度の定期検診もやめようかと考えていた。3か月に一度注射針を刺され、半年に一度放射能を浴び続けるのとどちらのリスクが高いか分からないと考えたからだ。
それで今回を最後にしようと受けたMRI検査で「ガンが大きくなっている」と告げられた。
ガンが大きくなったのなら仕方ない、と手術を決意したが、結論から言えば、少し早まったと感じたと同時に手術したことを後悔している。今まであれほど慎重に来たのに、手術を即断せずもう少しじっくり考えた方がよかったと思ったからだ。
理由は後日、MRI検査の診断結果をよく読んでみると、医師の言葉は少し誇張気味で、検査報告書にはガンがわずかに拡大しているという表現で記されていた。
前立腺ガンの手術は「ダヴィンチ」と呼ばれるロボット手術。腹に5、6か所小さな穴を開け、そこから鉗子等を入れ前立腺を摘出する腹腔鏡手術である。
利点は開腹手術に比べ傷が小さい分治りが速いこと。
ただ、腹腔鏡手術は全身麻酔になり、私の不安点はそこに1つあった。
手術室に入ると麻酔医らしき人の姿が見えなかったので、麻酔をかけられる前に麻酔医の存在を尋ねると「私です」と若い(その時はそう見えた)女性が返事したので驚き「男性かと思っていました」と返事しながら「私は麻酔が一番怖いんです。麻酔事故が多いから」と懸念を口にすると「大丈夫です、私は20年のベテランですから」と不安を払拭された。
記憶にあるのはそこまでで、手術が終わり手術台からICU(集中治療室)に移される直前まで何がどのように行われたのか全く意識にない。
当初計画では順調に推移すれば術後4、5日でお腹に開けられた排液用の管が抜かれ、6日目に造影検査で尿道の縫合が上手くいき周囲に漏れがないことが確認されれば翌日か翌々日に尿の管(尿道カテーテル)も抜かれ、入院10日目に退院となる手筈。
だが、術後2週間が過ぎたが私はまだ入院したままで、尿道カテーテルは抜かれるどころか差し込まれたままだ。一時期に比べ尿に血液が混じる量は減り、激しい痛みに襲われて痛み止めを飲まなければ身体をくの字に曲げて脂汗を滴り落とす状態からはなんとか解放されたが、まだ尿に濁りがあり健康な尿の色ではない。
(2)に続く
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