30-40年、消息不明だった友を探し歩く旅(1)


栗野的視点(No.889)                   2026年5月24日
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30-40年、消息不明だった友を探し歩く旅
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 近年いろんなものが失われていく。
まず筋肉が失われ、視力、聴力、記憶力が薄くなり、続いて資金力、交友力もどんどん失われていく。
 色んな人と話をしても、これらは少しずつ緩やかに減少していくというより、10年毎の節目にガクン、ガクンと落ちていくようで、皆さんそうおっしゃる。
 何とか認知力の低下だけは防ぎたいと思っているが、この頃人の名前は全く出てこない。まあ芸能人やタレントの名前ぐらいは出てこなくても日常生活に支障はないが、目の前にいる友人・知人の名前が出てこない時はちょっと焦る。

 これは逆の立場だが今年3月、半年振りに帰省すると近所の景色がずいぶん変わっていて、通りに面した家々から人が居なくなっていたのには驚いた。聞けば突然亡くなった人がいたり、施設に入居した人達がいたりとのこと。
 その中の一人に、私が帰省中、庭で草取りをしていると必ず家から出て声をかけてくれる仲のいいお婆さんがいたが、彼女も昨年12月、グループホームに入所したと聞き、早速、施設に見舞いに行った。
 ところが名前を言っても、私の顔を見ても「知らない」と言われた時はちょっと悲しかった。わずか半年でこんなになるのかと。

40年前の消息を辿り津久見市に

 年とともに自然減で交友関係は減っていくし、なんとか終いとかで便りも減っていくのとは反対に、私は古い友人の消息を尋ね歩いている。
 その中でもずっと気になっていたのが2人いて、1人は大分県津久見市で、もう1人は従兄弟で鳥取にいるはずだったが、前者は40年、後者は30年音信不通になっていた。
 どちらも会おうと思えば会えないことはないと思っていたが、生憎両人とも現住所を知らない。
 津久見市のKは年賀ハガキを出しても届かなくなって40年と長い。同じ九州といっても津久見市はちょっと遠い。なかなか行く機会もない。ところがその機会が今年巡ってきた。
 2月中旬に津久見市へ1泊旅行に出かけることになったのだ。

 目的は河津桜の撮影。いままで九州で河津桜を観に行ったことはなかった。比較的近場では山口県萩市・親水公園(というより「道の駅萩しーまーと」という方が分かりやすいか)の河津桜で、ここは何度か訪れている。
 近くに萩往還梅林園もあるので梅の名所を訪ねながら帰省する途中に河津桜も観るという感じで、この時期、大分方面に足を向けることはなかった。
 だが今年は3月下旬まで福岡にいることにしたので津久見市四浦半島の河津桜を観に行くことにした。
 ついでに(というか私には裏の主目的)以前から気になっていたKの消息を探りたいと考え、四浦半島にまず向かいたいというパートナーを説き伏せ、津久見市中央通り商店街に向かった。

 Kの実家は津久見市中央通り商店街で古くから果物屋を営んでいるし、その住所は分かっているから比較的簡単に見つかるはずだった。
 ところがその住所に果物屋はなかった。
ただ果物屋の店名が「とりげん」という焼き鳥屋みたいな名前だったし、津久見市では割と有名な果物屋みたいなことを本人が言っていたので地の人なら知っているのではないかと思い、通りかかった人に尋ねても「聞いたことがない」と言われ戸惑った。
 何年前ぐらいの話かと問われ、20、30年前にはあったと思うのだがと応えると「古い話ならあそこのおばちゃんなら知っているかも」とチャンポン屋を案内された。
 事情を話すとKのことを知っており「奥さんが近くで果物屋をしている」と教えられた。

 案外早く消息が分かってよかったと喜んだのは束の間で、そこでは全く相手にされなかった。とにかく「Kの話はしたくないし、Kに関する話は一切私の耳に入れるなと言っているから、Kがどこで何をしているかも知らない」とけんもほろろ。
 いくら別れた相手のこととはいえ、そこまで悪しざまに言うかとKを少し弁護してやりたくなったがやめた。話をしているうちに少し思い出したことがあったからだ。
 好きな女がいて結婚したが、彼の父親がその女性を気に入らず離婚させられ、その後、別の女性と再婚したが前の女性のことが忘れられず、大分で働いていることが分かったからよりを戻したみたいなことを言っていた。
 まあ、それなら再婚相手の女性が「Kの話は一切したくない」と怒るのも分からなくはないと思った。
                                     (2)に続く


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