デル株式会社

 


貧困化するニッポン(1)


栗野的視点(No.830)                   2024年7月22日
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貧困化するニッポン
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 最近驚くことが多い。以前は当たり前のように備品供給されていたものがなくなったり、サイズが小さくなり、えー、こんなものまでと驚くことが増えた。
 それらの中には今までが過剰サービス過ぎたかもと思わせるものもあれば、そこまでするかというものまである。
 後者の場合は、この国はそこまで貧困化したのかと思い知らされると同時に、ちょっと侘しくもなる。

 ウィンナーや菓子類など食品の中身がこっそり減ってるのは昨日今日に始まったことではないが、紙類の減量はそこまでやるのかと感心するやら驚くやら。
 例えばティッシュペーパー。ティッシュペーパーといえば箱に入って売っているものと思っていると、最近増えているのが箱入りではなくプラ包装された5個セット。見るからにコンパクトになっているが、「コンパクトでかさばらない」という謳い文句がご丁寧に表示されている。
 高さは箱入りの2/3程度に圧縮されているが、枚数はほとんど変化ないようだから随分圧縮されているのだろうが、紙質が落ち、その分薄くなっていることも関係しているのだろう。さらに横(箱、パックの長い方)は1割強短くなっている。

 それでも、このコンパクトさはギリギリ許容範囲内かもしれないが、紙質の低下は許容範囲に収まるかどうかは微妙なところで、花粉症の人などは許せないかもしれない。
 そういう人用には少し高くなるが「保湿成分配合」の高級ティッシュを販売しているので、そちらをどうぞと言われそうだが、実は保湿成分配合の肌触りがやわらかいティッシュも質が落ちている。

 旅行をよくする方はお気づきだと思うが、宿泊施設の室内に置いてあるティッシュの箱が従来の横長のものから半サイズの大きさの化粧ティッシュに変わっている。
 ダウンサイジングといえば聞こえがいいような「気がする」がコストカットである。航空会社系のホテル(従来イメージでは高級ホテル)でさえこれだからいい加減にしろと言いたくなる。

 「おもてなし」なんてのは言葉だけで、実態は何もないというのは、あの言葉が流行するずっと前から分かってはいたが、何もかもがカットされていくと、本当にこの国は貧困国になったと感じる。

 ティッシュペーパーみたいなみみっちいことを言うなと怒られそうだが、もう少しお付き合いを。
 今から6年前、台湾に行った時に気付いたのがトイレットペーパー幅だった。日本よりわずかに幅が狭かった。その時は、これはありか、と納得したものだが、今や国内のトイレットペーパーも幅狭になってきている。

 個人的に最も疑問を感じるのは製紙会社がティッシュペーパーを紙箱から包装プラに変更したことだ。紙が商品の企業が紙の使用をやめてプラ系に変えるのは自己否定ではないかと思うが、なにより環境問題からプラ系の使用を減らす世界的な動きに逆行していると思うが、その点はどうなのか。

 ただ環境問題は一筋縄ではいかないところがあり、日本の製紙会社は消費者ニーズに応えるとかでバージンパルプ使用。それも国内材ではない。日本だけではないが、かなりの部分日本が現地木材を買いアマゾンの森林はどんどん減少し、それもCO2の増加に貢献している。
 一時期、使用を控えられた割り箸もいつの間にか復活しているが、これも国内産木材に変えられたわけではない。一部では国内森林の間伐材などの端材を使用されている例もあるが、それはごくわずかだ。
 これも一筋縄ではいかないのが林業従事者の高齢化があり、安い海外材に価格で太刀打ちできないと問題がある。
 そして日本は世界を消費し続けている。
                                             (2)に続く


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