遊郭発祥の地
室津の町中に着き最初に探したのは駐車場。田舎町とはいえ狭く小さな町故、車を駐車できそうな場所も見当たらないし、適当に止めるわけにもいかず、低速で車を移動しながら駐車場を探していると駐在所が目に付いた。
道を聞くには駐在所か交番と昔から決めている。ただ駐在さんは町内見回りで留守のことが多い。だが、この時は運よく駐在さんがいたので「この辺で車を止めるところはありませんか」と尋ねる。
どこから来て、どこに行くのか、目的は、みたいなことを丁寧な言葉で聞かれ、特に目的はないが古い町並みを訪ねるのが好きで、ネットで調べていると室津には古い町並みが残っているらしいので、そこを見てみたいのと、加茂神社にも行ってみようかと思っていると答えると、加茂神社までの道筋を教えてくれ、といってもほぼ一本道の突き当りだが、車もそこに止め、町の中心部までは少し戻ることになるが400mほどだから歩いて回れると教えてくれた。
この駐在さん、なかなか親切かつ町の歴史に詳しく、こちらがちょっと話しかけただけで町のことを色々教えてくれたのに感心した。
「昔は入船、出船で随分栄えた港町です。海外からの船も来ましたしね」
「室津千軒といってこの地区だけで千軒の家がありました」
「室津は遊郭発祥の地でもあるんですよ」
「詳しい人が見ると遊郭の跡はすぐ分かります」
「遊郭といえば格子窓になっていますよね」
「そうなんです」
室津が遊郭発祥の地とは知らなかったが、地元の人は悪びれもせず皆さん「ここは遊郭発祥の地」だと話す。
「ところで海岸沿いの民家の前に鉄製の防水扉が設置されていましたが、商業施設などでは見かけたことがありますが民家の前は初めて見ましたね」
「この辺りは浸水するんです。海がすぐ側ですから。もうしょっちゅう浸かっています」
「えっ、そんなにしょっちゅう?」
「ええ、台風の時期は。8、9、10月は大体浸かりますから防水扉が必要なんです」
そう教えられ後で見るとここには砂浜がなかった。つまり緩衝地帯がないので大波が寄せて来ればすぐ船着き場を越えて浸水するわけで、そんなにギリギリのところにまで家を建てなくてもと思ったが千軒の家がひしめき合って建っているのだから、ある意味仕方ないか。
(3)に続く
※室津の町の写真は「栗野的風景」内の「地方を旅する面白さ〜たつの市室津」で ご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/kurino30/archives/52916097.html
http://blog.livedoor.jp/kurino30/archives/52916152.html
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