デル株式会社

 


拡大資本主義はどこへ向かうのか。(1)


 我々はどこから来て、どこへ行くのか−−。
東芝の不正会計(粉飾決算?)に始まり、タカタの欠陥エアーバック問題、旭化成建材による杭打ちデータの改ざん(その後、旭化成建材にとどまらず業界全体へと拡大)と日本を代表する大企業の不正問題が次々に明らかになっただけでなく、ドイツを代表する自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)も排ガス規制逃れのためにソフトを改ざんするなど、今年に入って世界的な大企業が次々問題を起こしている。
 いずれも業界を代表する大企業。本来なら業界他社の模範にならなければいけない立場だ。それが不正を働いていたのだから呆れてものが言えない。企業倫理も地に落ちたものだ。

タカタ、旭化成建材は存亡の淵に

 これらの企業はいずれ高い代償を払わされることになるだろうが、タカタ、旭化成建材は存亡の危機に立たされるかもしれない。はっきり言えば数年を待たずに消滅しているのではないだろうか。
 存続できているかどうかはひとえに資金力にかかっている。タカタはホンダ車とともに伸びてきたと言っても過言ではない。ところが、そのホンダが今後発売する新モデル車にタカタ製の主要部品を使用したエアバッグを使用しない方針を表明(11月3日発表)しただけにとどまらず、三菱自動車、富士重工業、マツダもホンダとほぼ同じ対応を表明している。11月23日には米フォードも同様の方針を発表。
 タカタにとってこれは非常に大きな意味を持っている。同社はこの問題で米運輸省道路交通安全局から2億ドル(日本円換算で約240億円)の民事制裁金を科されている(約85億円は即時払い、残り156億円は米当局と合意した安全対策を守れなかった場合に支払う)。たしかにこの金額も小さくはないが、むしろ主要な販売先をほとんど失ったことの方が大きいだろう。それは同社の将来を閉ざされたのと同じことを意味するからだ。それに加えて、今後賠償金問題も出てくる。入って来る金がほとんどなくなる中で、それらの金をどう工面できるだろうか。
 フォルクスワーゲンも大きく信頼を失墜したが、タカタの場合と違うのは入って来る水の蛇口が締められたわけではないということだ。一時的にはVW車の売り上げは落ちるだろうが、タカタの様に大半の販売先を失うわけではないからだ。

 では、900億円もの営業赤字を出した東芝はどうか。東芝はすでにグループの切り売りを行っているし、さらに悪材料が出てきているので、このまま行けばシャープの二の舞になりかねない。いや、シャープを引き合いに出すのはシャープに失礼だ。東芝は当初「不正会計処理」問題という取り上げ方をされてきたが、実際は粉飾決算問題だろう。そしてそのことが徐々に明らかにされつつある。

 それにしてもなぜ大企業で、こうも問題が発生するのか。大企業に何が起こっているのか。なぜ今なのか。なぜそうなるのか。企業とは一体何なのか。企業はどこに向かっているのか。どこに行くのか−−。

ゴーギャンの疑問と予見

 話は少し逸れるが冒頭の言葉で画家、ゴーギャンの絵と言葉を想起した人も多いのではないだろうか。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と記したゴーギャンの有名な絵を。
 我々日本人が、多少の違いはあるにせよ仏教的な考え方と無縁ではないように、西欧人はキリスト教の教義と無縁ではなく、後半生、キリスト教に猛反発していたゴーギャンといえども例外ではない。
 「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という言葉自体がキリスト教と無縁ではなく、「ヨハネによる福音」の次の言葉に対するアンチ、あるいは皮肉を込めたものと思われる。
「たとえ私(イエス)が自分について証しをするとしても、その証しは真実である。自分がどこから来たのか、そしてどこへ行くのか、私は知っているからだ。しかし、あなたたちは、私がどこから来てどこへ行くのか、知らない」
 「神の子」である自分は「どこから来たのか、そしてどこに行くのか知っている」が、救われる対象である、イエス以外の人々はイエスがどこから来て、どこに行くのか知らない、と言っているわけだ。
 多少乱暴な言い方をすれば、指導者は自分のことも、自分が進む方向も知っているが、被指導者は無知だから知らない。黙って付いてくればいいのだと言っているようにも聞こえる(キリスト教徒からは大ブーイングが来そうだが)。
 これに対してゴーギャンは、本当にイエスは分かっているのか、本当は誰も分かっていないのではないかという皮肉を込めて「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」と書いたのではないだろうか。

 それはさておき、「我々」を人間、人類、企業、現社会、拡大資本主義等々に置き換えれば、ゴーギャンのこの言葉は極めて今日的な意味を持ってくる。
 企業とは、企業の目的とは、向かうべき方向は・・・。いま、それを見失っている企業が多いのではないか。
                                               (2)に続く

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