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ホモ・サピエンスは滅亡に向かっているのか(4)〜2極化する政治の危険性(1)


栗野的視点(No.836)                       2024年10月1日
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ホモ・サピエンスは滅亡に向かっているのか(4)〜2極化する政治の危険性
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 今、世界の政治は危険な曲がり角に差し掛かっている。日本も例外ではないが、自民党総裁選で石破茂氏が総裁に選ばれたのは取り敢えずよかった。事前の予想では小泉進次郎氏との1位2位争いになりそうだったが、いざ蓋を開けてみれば小泉進次郎氏は3位で、よもやの高市早苗氏との決選投票。

 1回目の投票では2位だった石破氏が決選投票で高市氏を退けはしたものの僅差の辛勝。今後の舵取りの難しさが予想されると思っていたら、早速、高市氏は打診された自民党総務会長職を固辞し、一切の党役職、入閣にも応じないと協力を拒否。幹事長職以外は受けないと息巻いたらしいが思い上がりも甚だしい。
 得票数を見れば高市氏が勘違いしたくなる気も分からなくはないが、これ以上右傾化してはいけないという党員、議員の良識がギリギリのところで働いたというところだろう。
 かといって考え方に一貫性がなくフワッとしたムードで政治を行いかねない小泉進次郎氏に票が流れることもなく、石破氏に今後を託そうとしたのは一定の良識が働いたと見るべきだろう。

 これはよかった点だが、個人的には気になる点がある。1つは石破氏の喋り方だ。一言で言えば声が小さく、覇気が感じられない。話に筋が通っていても聴衆は頭で聴いていない。聴いているのは「ハート」で、そこに届かなければならないが、石破氏の話し方は人の心に「響く」という意味では弱い。
 そのことは東京都知事選で元安芸高田市長の石丸候補の演説に若者が集まったことでも分かっているはずだが、石破氏は従来の自分のスタイルを変えようとはせず、9人の総裁選候補者の中で最も喋り方にエネルギーを感じられなかった。
 今後、首相になり外国の要人と会ったり、各国要人との会議の場でも、声が小さくボソボソと話すスタイルで相手に意思が通じるかどうか。第一、通訳が声を聞き取れるだろうか。
 事前に原稿が渡されている分はいいが、記者会見などで予期せぬ質問が出た時の受け答えで通訳が声を聞き取れなければ正確に訳して伝えることができず、それは海外メディア等に誤訳、誤解を与えかねず、この点が危惧されるマイナス面。

 それにしても、この国でも高市氏のように極端に右寄りの考えを持つ政治家が半数近くの票を集めるようになってきたことに驚いた。
 自民党は中道から右派まで、別の言い方をすればハト派からタカ派までかなりウィングの広い政党で、首相交代は自民党内の政権交代的な要素もある、ある意味懐の深い政党で、その点が支持されてきた。
 ところが安倍政権以来、自民党は柔軟性を失い、主流派に異を唱える者は徹底的に干し、違う意見を言い難い体質に変えられてきた。組織の硬直化である。

 硬直した組織が独裁化するのは歴史の常で、国民に対しては強権的な姿勢に出る。それはなにもロシアや北朝鮮、中国を上げるまでもない。今、世界の政治は一方で強権政治、独裁政治が力を得つつある。
 こうした政権は内に対しては反対派を力で抑え込み、外に対しては武力を行使し、様々な理由を付けて自らが敵とみなす国家、民族を滅ぼそうとする。 

 こうした方法を取る政権は発展途上国、文明未成熟国だったが、いまや米露中国などの大国、国連常任理事国で台頭してきている。
 強権政治、独裁政治の対極にあるのは民主主義だが、民主主義の力が弱まっているだけでなく、今後ますます弱まりそうだ。

 その象徴がトランプ前大統領だが、高市氏もよく似ている。安倍政権は政権に批判的な報道を規制したがっており、当時、総務相だった高市氏は政権に批判的な報道番組に電波停止をちらつかせたことを記憶している人は多いと思うが、自民党議員の中には健忘症か認知症が増えたのか、そうしたことをすっかり忘れているようだ。
                                          (2)に続く


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