栗野的視点(No.850) 2025年2月21日
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病院選びのもう1つの視点、こんなにも差がある入院費
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入院、手術が必要になった時、入院先病院をどのような基準で選んでいるだろうか。「選ぶもなにもそれまで掛かっている病院にそのまま入院するだけ」とか「主治医に勧められたから」という人がほとんどかもしれないが、「近い」「大きい」「名が知れている」というような簡単な理由で選んでいいのだろうか。
生命を救う病院で生命を奪われる
手術ということは執刀医に生命を預けるわけで、そう考えればもう少し真剣に病院や執刀医を選んでもいいと思うが、そこまで大事になると考えていないのか、あるいは入院日数が短いと「簡単な手術」と考えるのか、腹腔鏡手術を「1週間で退院できるから」と盲腸の手術ぐらいに答える人が結構いる。
しかし、技術的には腹腔鏡手術は開腹手術より難しいし、実際に腹腔鏡手術で亡くなった人は案外いるのだが、それらが表に出ないだけで。
腹腔鏡手術の方が難易度が高いと私が知ったのは20年程前、鼠径(そけい)ヘルニアで九州中央病院で診てもらった時。診察をした医師が「手術には腹腔鏡手術と開腹手術の2種類があります」と言い、それぞれの長所短所を説明した後、「腹腔鏡手術がよければ私では出来ません。当医院では部長がすることになっています」と説明してくれた。
その説明を聞いて、この医師は正直で信頼できそうだと感じたから「分かりました、先生にお願いします」と開腹手術の方を選んだ。
正直な医師=技術力が高い医師、ではない。でも、新しい技術、新しい機械はすぐ使ってみたくなるのが人の常でもある。そこで、自分にそこまでの技術力がないのに新しいことにチャレンジするのか、慎重に行くのか。
さらに言うなら自分の技術力を高めるために患者をモルモット代わりにするのか、そうではないのか。
2020年に赤穂市民病院で医療ミスが起きているが、その内容を知れば病院と医師選びに慎重になるに違いない。
まず市民病院という地域ではよく知られ、また市民がよく利用している公立病院で起きた医療事故であること。
次に脳神経外科のM医師が同年だけで8件の医療事故を起こしていること。しかもそのうち2件の手術では患者が亡くなっているし、ほか6件では手術後患者に後遺症が残っている。
脊柱管狭窄で入院手術をして、まさか下半身不随になるとは思いもしなかっただろうし、家族は後悔したに違いない。実際、訴訟を起こし争われているが、M医師は21年8月に赤穂市民病院を依願退職した後、大阪市の某病院を経て吹田徳洲会病院に採用され勤務している。
こうした医師の経歴を知っていてもなお同医師に執刀を頼む患者がいるだろうか。
恐らく経歴を知らず、名が知られた大きな病院だからと安心し、何も考えずに任せているのだろうが、自分の生命を預けるにしてはあまりにも安易すぎないだろうか。
このほかにも腹腔鏡手術で何度も失敗しているにもかかわらず手術を続けた医師もいたし、直近では青森県八戸市の「みちのく記念病院」で入院患者が相部屋の男性を歯ブラシの柄で顔面を何度も差し殺害したが、同病院の院長(当時)と院長の弟で主治医は共謀して死因を隠し、遺族には肺炎で亡くなったという死亡診断書を渡し、事故の隠ぺいと犯人の隠匿を行ったとして今年2月逮捕されたが、院長は今も同病院を運営する医療法人の理事長を続けている。
この医療法人は同病院以外にも複数の病院を経営しており地元では有名なだけに、事件のことをよく知らない人は「大きな病院」だから、「地元で有名な病院」だからというだけで選べば、生命を救ってくれるはずの病院で生命が奪われるということにもなりかねない。
(2)に続く
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