病院の保証人代行会社は高齢者、単身者の救いか(1)


栗野的視点(No.849)                   2025年2月15日
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病院の保証人代行会社は高齢者、単身者の救いか
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入院時に身内の保証人不要

 「おひとり様」という言葉が少し前から流行っている。
発祥は宿泊業や飲食業ではないかと思うが、当初それらの業界で「おひとり様」は歓迎される存在ではなかった。宿泊業でも飲食業でも一人客はあまり金を使ってくれないからだ。特に旅館業ではコストパフォーマンスが悪い。1人客でも2人客でも提供する部屋の広さは変わらない。ましてや女性の一人客は過去、自殺者が相次いだこともあり「訳あり」と見なされ敬遠された。

 それが今や「おひとり様」という言葉が市民権を得ていろんなところで使われている。1人参加に限って募集しているツアーなどもあるぐらいだから世の中変わったものだ。
 「おひとり様」の生き方を讃歌する本も出ているほどだし、1人暮らしを謳歌している年配者もこの頃増えている。
 ただし「おひとり様」生活を楽しめるには「元気な」という接頭辞が必要になる。
 元気でなければ旅行にも行けないし、趣味の世界を楽しむこともできない。もし万一、病気にでもなり入院することになれば、途端に問題にぶつかる。

 まず入院手続きの際に保証人を求められる。保証人は原則家族で他人はダメ。もう20年程前になるが遠方に居る親族に保証人を頼むのも気が進まなかったので、パートナーで申請したところ「家族以外はダメです」と断られた。
 仕方なく甥の住所、氏名をその場で書いたが本人の承諾は得てない。そのことは病院側も分かっているはずだが(目の前で記入しているのだから)親族であれば何も言わない。そこに記入された者が本当に親族なのか、実在するのかさえ確かめようとしない。
 これって一体なんなんだろう。

 今回、手術入院前の説明、手続きの際「20年前の入院の時は甥の方が保証人になられていますね」と言われた。
 デジタル化が進み、どの部署でも患者の過去データが見られるようになっているみたいで、20年前のことまで残されていて瞬時に表示されるのかと驚くと同時に不気味さも覚えた。
「遠方だから今回はしません」と話すと、「代わりにどなたか保証人は」と尋ねられることもなく、「当院では連帯保証人を用意していただく必要がありませんから」と言われて1枚の紙を手渡され説明を受けた。

 「入院証書について」と題された紙に
「令和5年4月より連帯保証人代行制度を導入しました」
「連帯保証人をご用意いただく必要がありません」
 と書かれていた。
 へえー、保証人、必要なくなったんだ、とノー天気に感心していた。

 「入院費をきちんとお支払いされなかった場合、代行会社(株式会社イントラスト)より請求が来ることがあります」と書かれ、問い合わせ先として代行会社のフリーダイヤルも大書されていた。

 20年前には保証人を求められ、それは家族か親族しかダメだったのに随分変わったものだ。今風に変えてきたのか、とぼんやり考えていたが、実はそうではなかった。
                                            (2)に続く


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