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崩壊していくニッポン1
〜偽装列島(2)〜


デフレとコスト削減圧力

 では、現場の悪しき慣習を排除しさえすれば偽装は起こらなかったのだろうか。
そこで気になるのが、約10年前から偽装表示をしていたと多くの企業が証言している点だ。
 この「10年」とは何なのか。それはこの国の経済がデフレに支配されていた期間と重なる。つまりデフレ経済が各種の偽装表示に影響しているといえる。

 デフレは価格の下方圧力を増し、食料品の調達先は国内から、安い海外へと比重が移ってきた。「地産地消」が謳われたこともあったが、いまやこの言葉はほとんど死語になり、商品を提供する側も買う側もひたすら低価格を指向するようになってきた。
 もちろん同じ品質なら安いものの方がいい。私もまず価格が安い商品を選ぶ。しかし、どんなに安くても絶対買わない商品もある。アメリカ産のブロッコリーと牛肉だ。最近はこれに中国産が加わっているが。
 いずれも品質、添加物に信頼が置けないからだが、アメリカ産の農産物はかなり以前から残留農薬の問題があり、一切買ってない。
 ついでに言えば、私はハンバーグは食べない。特に外食では。ミンチは何肉が入っているか不安だからだ。ステーキでさえ屑肉を結着剤で固めた成型肉だったり、食品添加物を注入してやわらかくしたりしている時代だ。恐ろしくてミンチなど食べられない。

 TPP加盟で輸入関税が撤廃されれば海外から安い農畜産物が大量に出回りだすだろう。そうするとますます食の安全は脅かされる。一体誰のためのTPP加盟かと思うが、消費者のためにはいいことだという議論がある。
 本当にそうか、と思う。健康被害と価格を引き替えにすることがいいことなのか。例えば近年、化学物質過敏症・アレルギー症が増えている。微量ではあれ、毎日、有害物質を浴び続ける、摂取し続けることで、ある時点で飽和になり発症しているとすれば、微量の残留農薬だから問題ないとは言えないだろう。

 話を元に戻そう。デフレ経済で客単価は伸びず、厳しい競争にさらされだすとコスト削減要求は一層厳しくなる。そこで仕入れを見直す。今までの商品を他のもので代替できないか考える。大きさが一緒だからブラックタイガーも車エビでいけるのじゃないか、芝エビとバナメイエビだって見た目はほとんど変わらないだろう。だったら価格が安い方に変えた方がコスト削減になる。こういう思考回路を辿り、食材偽装表示が行われていく。
 つまり、長引くデフレ経済と社内のコスト削減圧力の結果、安全・安心、品質重視が疎かになり、コスト重視に傾いていったというわけだ。
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