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崩壊するニッポン(3)
技術革新はメーカーに何をもたらしたのか(2)

タブレット市場はクラッシュ


タブレット市場はクラッシュ

 近年のソニーはモノづくり以外の分野、例えば保険などの金融や不動産で稼ぎ、他の部門の赤字を穴埋めする体制が続いてきたが、今後は規模を追う路線から、安定して収益を見込める戦略への転換を表明した。だが、モバイル事業は「安定して収益を見込める」と位置づけ、引き続きコア事業に据えている。ただ、従来の数を追う路線は修正し、「高付加価値モデルに集中」するとはしているが。
 果たしてソニーの思惑通りに進むだろうか。たしかにNECもパナソニックもスマートフォン(以下スマホ)事業から撤退したから、国内でのスマホ市場はソニーとサムスンの2強(?)時代のように見える。アンドロイドのスマホではという注釈付きで。
 「スマホ市場は20数%の市場成長を見せており、年間13億台 の市場規模がある」と平井氏は言うが、果たしてそうだろうか。
 まず前者の市場成長率だが、すでに国内では頭打ちと言われていることから、この成長率は世界市場のことと思われる。
 しかし、今後ソニーは成長著しい新興国市場から手を引き、先進国市場に注力すると言っている。となると先進国のスマホ市場が今後も20数%の伸び率を示すという平井氏の読みはあまりにも楽観的すぎないか。

 世界最大の家電量販店「ベスト・バイ」のトップ、ヒューバート・ジョリーCEOは「タブレット市場は今はクラッシュしている」と7月30日のITニュースサイトのインタビューに応えている。
 「普及が急速に進んだため、驚くほどの普及率に達し、買い替え市場となった」が買い替えが進まず、成長は早くも鈍化しているというのだ。そしてスマホも成熟市場になり、買い替えに移っている、と。
 ただ、そういうスマホ市場にあってもアップルだけはまだ健闘している。とはいえ、そのアップルでさえ出荷台数は前年減になっている。

 デジタル化は社会を大きく変化させたが、プロダクツの面から言えばリスクを大きくしたのも事実だ。
 多くの部品がジグソーパズルのピースのようになり、しかもそれらのピースはコモディティ(日用品)化され、一つひとつピースを埋めて行けば最終製品が出来上がるようになった。
 このことは2つのことを招いた。1つはあらゆる製品が汎用品になってきたということであり、その結果、それらの製品に大きな差はなく、買う側は価格かブランドで選ぶだけだ。といっても、ブランドに従来ほどの価値はなく、せいぜいお守り程度のそれしかないのだが。
 もう1つは他業種からの参入を簡単にしたことだ。もはや昔のような技術者も経験者も必要ない。必要なのは指示通りに作業が行える組立工で、季節工でも派遣社員でもいい。生産現場で正社員比率が下がるのは当たり前だろう。
 結果、商品価格は市場に出て数カ月後には急落していく。さらに悪いことに商品サイクルが驚くほど短くなっている。
 コモディティ化された商品はちょっと目先を変えただけで次々に市場に出てくるから、ライバル商品に差を付け、競争に打ち勝つために新商品を投入せざるを得ない。そのことがますます商品を短命化するという悪循環に陥っていく。

 昨日の勝者が今日の勝者になれない現実の前でソニーもサムスンも苦しんでいる。スマホ市場でいま勢いがあるのはシャオミ(出荷台数が1年で3倍以上に伸びている)などの中国メーカーだ。
 どうやらスマホはPCと同じ道を辿りつつあるようだ。当然、スマホメーカーも。少し違うのはPCが辿った道をスマホはもっと速いスピードで駆け抜けているということである。

ソニーのジレンマ
                            (3)に続く

エクスパンシス
 


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