崩壊するニッポン(3)
技術革新はメーカーに何をもたらしたのか(1)



 一時、世界をリードした日本のメーカーが苦戦している。特にコンシューマー(一般消費者)を相手にした「メード・イン・ジャパン」の商品が。
 苦戦の原因は新興国メーカーからの激しい追い上げが1つ。もう一つは自らが開発した技術が自分の首を絞めている。これは皮肉としか言いようがないが、歴史を振り返れば過去にも同じことが繰り返されている。果たして「メード・イン・ジャパン」に未来はあるのだろうか−−。

凋落著しいソニー

 かつて世界をリードし、アップルの創業者の一人、スティーブ・ジョブズ氏も影響を受けたと公言していたソニーの凋落が著しい。かつての栄光は見る影もなく、リーマン・ショック後の6年間で5回も最終赤字を計上し、ついに今期は上場以来初となる無配を決議した。このままいけばシャープの二の舞いにならないとも限らない。
 解せないのは、この惨状を招き、なおかつ復活への道標も示せない平井一夫社長が自らの責任を問おうとせず、引き続き経営の指揮を執り続けることだ。まあ、近年のソニーは人員削減をしようが、事業部を売り払おうが、責任はすべて部下に押し付け、トップは破格の給与を平然と取り続けることが当たり前になっているから、平井氏が辞めなかったからといっても今更驚きもしないが。

 むしろ驚いたのは無配に転じたソニーと、過去最高益を出したトヨタの両トップが同じような言葉を口にしていることだ。
 「市場シェアや台数を追う規模拡大でなく、リスクを認識して収益性を追っていく」
 2015年3月期の連結業績予想を発表した席上、平井社長はこう語った。そう、量より質、売上高より利益だ。規模の拡大を追った企業は薄利多売傾向になる。そして気が付けば栄華を極めた頂上から転落し、やがてひっそりと社名が消えて行き、人々の記憶からも消えていく。
 栄枯盛衰は世の常。驕れる者は久しからずは歴史の証明するところだが、イオンがダイエーの完全子会社化を発表し、ダイエーの名を冠した店舗は2018年中になくなるのは九州にいる人間にとっては感慨深いものがあるというか、ちょっと寂しい。
 思えば九州で覇を唱えたスーパー、ユニードがダイエーに吸収され、今度はダイエーがイオンに吸収され、消滅する。そのイオンも決して安泰どころか、先行きは非常に厳しい。
 流通業の話はまた稿を改めるとして、話を元に戻そう。
 今期最高益を出したトヨタの豊田章男社長は社長就任以降「いいクルマづくり」「ワクワク、ドキドキ」するクルマづくり、ということを何度も口にしている。直近の決算会見でも「持続的成長、もっといいクルマづくり が一番の目的だ」と語り、規模の拡大を追うのではなく、品質や車の魅力を重視する姿勢を鮮明にするとともに、「再び成長拡大局面に入りつつある今こそ、実は危機的状況だ」と、気を引き締めている。
 そういえば、このところソニー製品に「ワクワク、ドキドキ」がなくなっている。技術が行き着くところまで行ってしまったといえばそれまでだが、むしろ量を追うことによりソニーらしさという個性がなくなってきたことが原因ではないか。
 同じことはホンダ車にも言えそうだが、またまた横道に逸れそうなので、それはさておく。

タブレット市場はクラッシュ

                                             (2)に続く

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