気づいた米と、前轍を踏んだ日本
日本の国力が低下したもう一つの要因は製造業の海外移転だが、これにはアメリカという先輩がいるにもかかわらず日本は前車の覆るを見て後車の戒めとしなかった。
80年代に苦しんだアメリカは製造業の国内回帰を進めてきた。さらにトランプ大統領は強権的に推し進め、アップルが5000億ドル(約75兆円以上)の投資をしてアメリカ国内に新工場を建設すると発表したのはつい先日のことだ。
これにはトランプ大統領による高関税を課せられるのを避けるためという側面もあるだろうが、行き過ぎたグローバル資本主義、金融資本主義への反省から学び、製造業の国内回帰で国力アップを図ろうとしているトランプ大統領の「アメリカ第一主義」のプラス側面といえる。
アメリカの脅しに次々と屈服し続けた日本は周回遅れでアメリカの後を追うだけでなく、今や中国の後塵を拝し、インド、ベトナム、タイにさえ並ばれ、アジア諸国の身近で手軽に行ける旅行先になっている。
その結果、京都をはじめ主要な観光地は海外からの旅行客で溢れ、それを当て込んだ旅行業界や飲食業界で価格が吊り上げられ、日本人は国内旅行にさえ行けなくなっているのは何とも皮肉だ。
つい先日も奈良の友人に奈良に行きたいと思っていると話すと「やめとけ」と言われた。
友人曰く「京都・嵐山に友人達と旅行に行ったけど日本人は俺達10人だけで周りは皆外国人。しかもアジアから来た若者が中心。もうどこの国に行っているのか分からん」。
これでは古都の歴史に触れるどころではない。地元の人がバスに乗ることができないと苦情を言うのも分かる。
日頃から昼食時に並ぶのさえ嫌いなこちらとしては、そんなに人で溢れているなら、まだそれほど知られていない穴場的な所に行こうと考えるが、最近、穴場はなくなっていると言う。「こんな所にも」というような所にさえ外国人旅行者が押し寄せている、と。
インバウンド景気を享受しているのはどこだ、と言いたくなるが、そういう時、異論を唱えるのは相変わらず富裕層を含む一部の金持ち層で、今や国民の大多数を占めるようになった下流層は物価高に苦しみ旅行どころではないし、週末旅行に行こうと考えても高速料金の割引適用外だったり、週末、祝日の宿泊料金の高騰に驚くばかりだ。
それでも一念発起して観光地に足を運べば、そこに広がるのは「外国」の景色。日本人の旅行者より外国人旅行者の数が何倍も多く、飛び交う言葉も外国語ばかりで、遠慮がちな日本人は小さくなってなにも楽しめない。
「パンが食べられないならケーキを食べればいい」と言ったのはマリー・アントワネットだが、「コメが高くて買えない」「宿泊費が高くて旅行に行けない」なら「麦を食べれば」「車中泊をすれば」とでも言われるだろうか。
(4)に続く
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