デル株式会社

 


 三流の国になり、ますます貧富の差が拡大するニッポン(2)
〜階層社会から階級社会へ


階層社会から階級社会へ

 次に槍玉にあげられたのが働き過ぎ。
たしかに日本は長時間労働によって支えられていたから生産性はかなり低い。だから労働時間を短縮(正規に戻せば)すれば生産力は途端にダウンする。
 それが目当てなのだが生産力を下げろとは言えないから、長期間休日、欧米のように「バケーション」を導入しろと圧力をかけてきた。

 とにかくアメリカの言うことには何でも従う飼い犬みたいなものだから政府は休日と連休を増やすことにし、振替休日をつくり、土日にくっ付けて3連休になるようにしたり、ゴールデンウィークなども飛び石休日をくっつけることで欧米並み(?)の「バケーション」をつくって批判をかわそうとした。
 そのせいで「成人の日」も「体育の日」も年によって変わり、記念日的な印象がなくなった。それなら「建国の日」も土日にくっ付け連休にすればいいと思うが、それはない。

 ただこれは一定の効果があった。3連休、4連休になれば家族旅行で遠出の旅行や海外旅行だってできる。
 しかも高速料金は土日祝日は上限1,000円になったからなおのことだ。これで庶民も負担軽減で旅行ができると歓迎したが、この割り引き制度が実施されたのは2009年3月28日〜2011年6月19日までのわずか2年とちょっと。
 今となっては当時が懐かしく、再度復活してくれないかと思うが、庶民のことなど考えてないから復活させる気は毛ほどにもない。
 それでもこの割り引きを利用して旅行した国民は多いだろう。

 それが今やゴールデンウィーク、シルバーウィーク、盆、正月の連休は1,000円高速どころか休日割り引きさえ廃止の実質値上げ。これでは連休利用の旅行を止められたのも同じで、その影響は庶民ほど受け、せっかくの連休でも近場での1泊旅行か日帰り旅行しかできない。
 これではなんのための連休なのか分からないが、オエライさんや富裕層には関係ない話だ。
 少々宿泊費が上がろうと海鮮丼やラーメンが数千円しようと関係ないし、意にも介さない。庶民が食べているサンマを食べた殿様が、こんなにおいしいものはないと城を抜け出し食べに行く落語の「目黒のサンマ」と同じで、常日頃高級・高額品を食べている富裕層がたまに庶民の食べ物を食べて、「おいしいじゃないか、これがこの値段なのは今までが安すぎたのだ」と嘯くのと同じで庶民感覚とは大きくズレている。

 かつて栄えた日本は中間層が支えたが今や中間層はいなくなり大半が下流へと移行し、気が付けば日本から階層はなくなり、代わりに「階級社会」が生まれていた。
 階層社会と階級社会の違いは前者は流動性があるが、後者は流動性がなくなり階層が固定化された社会ということだ。
 下流層の多くは正社員ではなく非正規社員として働き、一部で非正規社員を正社員化する動きがここ1、2年見られはしたが、多くは雇用調整弁でいつ雇用打ち切りを言われるか分からない不安定な雇用状態に置かれている。

 ごく最近、多少改善されたとはいえ、昇給があっても正社員程ではなく、「一人扶持は食えなくても二人扶持は食える」と言われたのは昔の話で、一人扶持で食えないのに結婚、出産なんて考えられないというのが現状。
 子供を大学にまで行かせる費用がなければ子供は高卒で働かざるを得ず、大卒に比べ収入は初任給から差が付いている。
 実力主義を標榜する会社でも、その前の段階で実力を付けられず、スタート地点からしてすでに差が付いているのだから「実力があれば」というのは「画餅の餅」あるいは「馬の前の人参」で体のいい言葉でしかない。
                    (3)に続く


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