三流の国になり、ますます貧富の差が拡大するニッポン(1)
〜アメリカの圧力に屈し下降線


栗野的視点(No.851)                   2025年3月5日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三流の国になり、ますます貧富の差が拡大するニッポン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 三流の国ニッポン−−。ついこの間まで一流国の仲間入りをしていたと多くの日本人が思っていたはずだが、いつの間にかアジアでも三流の国になっている。なぜ、そうなったのか、いつから日本は三流国になったのか。

アメリカの圧力に屈し下降線

 今この国の経済を表面的に支えているのはインバウンドと呼ばれる外国人旅行客で、それは言うなら見かけの繁栄経済。ニッポンの国力(経済力)が落ち、円安で安く旅行できるようになったから旅行客が来るようになっただけで、それでニッポン経済が潤っている(一部を除き)わけではない。
 いうなら今のニッポン経済は見かけの好調、数字上の好調経済で実体経済を反映したものではないが、政府や経済アナリストはこの数字を操り国民を納得させにかかっている。
 国民の方も体感では悪化していると感じていても、「オエライさんが言うことが間違うわけない」とどこか諦め気味で、米騒動も物価高反対デモも起きる気配はない。

 それにしても日本の国力が低下しだしたのはいつ頃からなのか。
 好調だったのはハイテク景気〜バブル景気の期間で、ちょうど1980年代の10年間。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられもし、国も企業も皆が天狗になり、人は踊り狂った。
 低下し出したのはその直後から。頂上に上り詰めれば、後に待っているのは衰退の歴史なのは、古代エジプトやメソポタミア文明、インカ帝国など高度な技術を持ち栄えた文明が滅び、歴史どころか伝説の中にしか痕跡を残さなくなっているものも多い。

 ところで「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を著した米の社会学者エズラ・ヴォーゲルはその著の中で日本の経済成長の基となったものを次のように記している。
・日本人の1日の読書時間の合計がアメリカ人の2倍
・日本人の学習意欲と新聞購読などの読書習慣がある

 今この2つは確実に低下している。それ故、日本経済が低下したのも当然といえるだろう。

 そこに加わったのがアメリカからの圧力。嫉妬のようなものだが、まず槍玉に挙げられたのがオフィス環境。
 日本は工場のオートメーションには力を入れるがオフィス環境は劣悪そのもので、これは「アンフェア」だという「言いがかり」。
 だが、日米貿易摩擦の解消を迫られていた政府はそれに従った。オフィス革命である。それに乗ったのがコクヨ、イトーキ、オカムラ等のオフィス家具メーカーだ。

 生産部門への投資を増やす代わりに非生産部門への投資を増やしたわけで、たしかに「ニューオフィス」は見た目も環境もよくなったが、これが最初のボディーブローだった。

 「ニューオフィス」は悪いことではない。しかし工場のオートメ化投資は行われていても現場労働者の待遇は改善されていないことを考えれば、ニューオフィスの前に待遇面のアップを含めた現場環境の改善に取り組むべきだった。

 今でも忘れられないのは1994年に長崎市で取材した某社(東京本社。会長、総務は長崎県の工場に在籍)の工場環境。
 バブル経済崩壊後だったが、福利厚生を充実させ、工場内にシャワールームを設置し社員が終業後に利用できるようにしていた。タオル常備、制服着替えはいつでも可能でクリーニング代は会社持ちというもの。
 その4年後に再取材し、事前通知なしでいきなり頼んで現場を見せて貰ったが、シャワールームもタオル常備もそのままで変わってなかった。
 当時取材したオーナー会長はすでに他界され、社長も何人か変わっているから現在もそうした環境が維持されているかどうかは不明だが。
                                             (2)に続く


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点24 INDEXに戻る