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 アマゾンプライムビデオに嵌まっている。(2)
〜歳を取る程にうまくなるクリント・イーストウッド


歳を取る程にうまくなるクリント

 逆に上手いなと思うのは中井貴一。NHKの「サラメシ」の甲高いナレーションには驚いたが、どんな役でもこなすし、その役に合った顔を見せる。こういうのを「役者」と言うのだろう。中でもNHKの時代劇で演じた「雲隠れ霧左右衛門」役はよかった。ちょっと軽い役から雲霧のような重厚な役まで演じ分けられる貴重な存在だ。

 まあ、そんな風でTVに観るべきものがないからアマゾンプライムビデオに逃げ込んだ。録画したものを観る感覚で、当初、それほど期待はしてなかったが、洋画やWOWOWの過去放映分が見られたりし、へえー、こんな映画や放送があってたんだと興味が湧いてきた。なんといっても、もうというかまだ「好奇」高齢者。いくつになっても新しいことを発見したり、出合うのは楽しい。
 クリント・イーストウッドの監督・主演映画をアマゾンプライムビデオで見つけた時はうれしかった。たしか彼はもう役者はやらないと言っていたから、久方ぶりの出演作。題名は「運び屋」で日本では2019年に上映されていたみたいだが、映画館にほとんど足を運ばないから知らなかった。映画館で年間400本前後観ている友人がいるが、彼なら知っていたと思うが。

 背が少し曲がり、腕も皺くちゃの姿を晒しながら、イーストウッド扮する老人がカネのために麻薬の運び屋になっている。当人は荷物が麻薬とは知らずにただ指定された場所までドライブするだけでカネになるいい仕事と思っている。
 この映画、実話をヒントに製作されたみたいだが、「マディソン郡の橋」にしろイーストウッドは老体を隠すことなく晒している。その歳にならないと演じられないものがあるし、それを演じるイーストウッドには感動さえ覚える。歳を取ることは悪いことではない、と。

俳優に遠慮すると駄作になる

 逆にバカらしかったのが邦画の「デンデラ」。当初、「楢山節考」の監督、今村昌平の息子が監督というテロップを見て期待して観たが、期待通りだったのは山に捨てられに行く最初のシーンと冬山の景色。雪景色の撮り方は実に上手で、まるで絵を観ているような感動を覚えた。
 ストーリーは70歳になると村の掟で山に捨てられに行く老女達が、そこで生き残り「デンデラ」という老女だけの国を作り、自分達を捨てた村の男達に復讐しようとするもので、ストーリーが面白いわけではない。老人達が戦うという設定だけを見れば「吉里吉里人」とどこか重なるが、「デンデラ」の映画を見た限りでは及ばない。

 錚々たる女優陣が出演しているにもかかわらず、この映画が三流になっているのは脚本もさることながら俳優の演技が光らないからだ。草笛光子や田根楽子、角替和枝はよかった。特に草笛光子のメーキャップは。
 メーキャップで期待したのは浅丘ルリ子。何に出てもアイライン、目の縁取りをくっきり入れることに拘っている彼女がお馴染みのスタイルを捨てて役になり切るのかどうか。「やすらぎの郷」の時でさえ化粧ばっちりで通した女優だからね。
 最初のシーンだけは目元薄目のノー化粧風だったが、途中から相変わらずのアイラインが目立ち興ざめ。倍賞美津子に至ってはまるで片目の海賊風。全員70歳以上という設定のはずなのに倍賞美津子は顔肌も若すぎる。今の70歳ならまだしも分からないでもないが、時代設定を考えれば今の80代後半。もう少し年寄り感を出さないと嘘っぽい。

 結局、監督より俳優の方が上で、錚々たる女優陣に監督がああしてくれ、こうして欲しいと注文を付けられなかったということだろう。だから三流映画になってしまった。映画館で観ていたら「カネ返せ」と言いたくなる。アマゾンプライムビデをとはいえ損した気分。


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