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イオンの「反省」は本当か、単なる客寄せ戦術なのか。(1)


 今春、イオンが異例の「反省」をした。「お客さまへのサービスを、怠っていました」「他店にくらべて、決して安くはありませんでした」と全国紙1面を使った「反省」広告を出したのだ。「本当の低価格、売り場、サービスを取り戻すことに全力を尽くしていきます」と誓ったが、その言葉は本当だったのか。同社のやり方を見ていると必ずしもそうとは思えない点も見えるのだが・・・。

あっという間に店頭から消えた
PBビール「麦の薫り」


 10月6日に出されたイオンの8月中間決算によると、前年同期比3.1%の売り上げ減、営業利益は39.5%減だった。今春、大々的に「反省」し、5,100品目もの値下げをしたにもかかわらず販売不振に歯止めがかからなかった。
 これではなんのための値下げかよく分からないが、もっと分からないのは今春の「反省」が本心からなのか、それともマスコミ受けを狙った「反省」だったのかだ。

 例えば350ml缶1本100円で販売した第3のビール「麦の薫り」。
サントリーとの共同開発でイオングループのPB商品として8月上旬に販売した。
発売前のセンセーショナルなマスコミ記事で消費者の期待を煽ったのは大成功で、多くの消費者が一度は話の種にと店頭へ行き買い急いだ。
 結果は大成功。あっという間に店頭から消えた。
第3のビールといおうと発泡酒といおうと、いまや消費者にとってはビール系飲料だ。むしろビールの売り上げは年々落ち込んでいるが、それとは対照的に第3のビールは売り上げを伸ばしており、そのことが証明している。
第3のビールが支持されたのはなんといっても価格。
そこにもってきて1缶100円という圧倒的に安い価格で販売したのだから売れないわけはない。
 さらに国内メーカー、サントリーによるOEM生産という安心感も加わり、いままで欧米系の低価格ビールや韓国製ビールに手を出さなかった層まで「麦の薫り」に手を出した。

 かくいう私も7月にマックスバリューで6本セットを買って飲んだ。
印象は「これは売れる」。
十分許容範囲内の味である。
もともとビールは人によって好みの味が多少分かれる。
この「多少」を取り込む許容範囲内の味ということだ。
これが100円なら安い。
概ねそういう反応だった。

 ヒットの予感−−。
ところが、「麦の薫り」はいまだにイオングループの店頭から消えたままだ。
私が買えたのも一度だけで、それ以降店頭で見たのは「次回入荷待ち」という張り紙だけである。それも一度だけ。
 イオンの従業員に尋ねても「いつ入荷するか分かりません」という言葉しか返ってこない。
売れて品薄なのかとも思い、そのことを尋ねても首を傾げるばかりである。
かつて一度買ったことがあるマックスバリュー店に行き、入荷予定はないのか尋ねたところ、しばらく聞き回った挙げ句に「扱った記憶がないそうです」と返答されたのには驚いた。
「そんなバカな。7月にこの店で買ったのだから」と言っても、相手は不思議な顔をするばかり。
誰かが嘘を言っている!
なにかの映画でそう叫ぶシーンがあったが、これは嘘のような本当の話。

 要は初回ロット1回切りの入荷で、その後の入荷がなく短期間の扱いで終わっているため、従業員の記憶にすら残っていないのだろう。
                                              (2に続く)


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