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ボルボの電気自動車に乗った感想(2)


 「電気自動車に乗ったことがありますか」と問われ「初めてだよ」と返答すると、一通り操作方法を説明してくれたが、驚いたのはエンジンキーがカード式になっていたことだ。
 ホテルなどで渡されるカードキーを想像してもらえばいいが、それをコンソールボックスに記された小さなマークの前に置く(タッチさせる)とエンジンが始動する仕組みだ。
 エンジンがかかると言ってもガソリン車のようなエンジン音は聞こえない。静寂そのものだからちょっと不安になる。
 確認のため、アクセルを踏み込んで空ぶかししてみようなんてことは考えない方がいい。その瞬間、車は勢いよく飛び出してしまう。

「出足がいいですから注意してください。アクセルをちょっと踏むだけでピュッと出ますよ」
 とディーラーのメカニックからアドバイスを受けた。
 実際、信号待ちで止まっていて、信号が変わるとアクセルを軽く踏んだつもりでも速度計は瞬時に50kmを示し飛び出していた。だが、エンジン音がしないものだから速度が出ている感覚がない。
 低速時にモーター駆動する日産自動車の「ノート」は運転したことがあるが、それとは比べ物にならないくらいアクセルが軽く、瞬時にスピードが出る。

 慣れてないと踏み間違い事故が起きる可能性が高い。
 特に高齢者の場合、EV車に乗ると操作に戸惑うだろうし、とっさの場合、操作ミスがおき事故に繋がる可能性がある。
 そう感じた。

 続いて感じたのがハンドルの先に何もないこと。
通常だとハンドルの先に見えるのはスピードメーターやタコメーター(回転速度計)に走行距離やウィンカー表示。
 ところが、これらの表示は正面ではなく、運転席と助手席の中間、カーナビがある位置にしか表示されないため、速度を確認する時でさえ、顔を少し左に向けなければならない。
 わずかの角度移動とはいえ走行中に視線を正面から移動するのは危険だし、安全面に配慮しているボルボらしからぬ仕様だと感じた。

 これは「日産ノート」などでも行われている仕様だが機械式ギヤチェンジはそもそもない。当然、シフトレバーは存在しないし、サイドブレーキレバーもない。すべてが電気式でギヤシフトを示すものは「R」「N」「D」の3つのダイヤルのみ。

 人にもよるだろうが私などは「N」位置にギヤをよく入れる。昔で言う「ギヤを抜く」というやり方だ。
 ところがシフトレバーからダイヤル式になると、日産ノートなどでもそうだろうが、ダイヤル位置は「D(ドライブ)」にほぼ固定し、「N」に入れる人はほとんどいないのではないか。
 私自身ボルボのEV車に乗っている時ダイヤルを「D」から「N」に移動したことはなかった。

 ギヤチェンジしなくていいのは便利だが、危険性もある。EV車はエンジン音がしないから停止している時、エンジンが始動しているのかどうかが分からないし、今ギヤがどこに入っているかの認識がない。
 ガソリン車の感覚でエンジン音がしないか静かだからギヤは「N(ニュートラル)」に入っているだろうと勘違いし、アクセルを踏めば車は間違いなく前か後ろに勢いよく飛び出す。
 もし、これで事故を起こせば「踏み間違い」として処理される。

 そうならないためにはフットブレーキから足を離す前にギヤダイヤルがどの位置になっているかを確認した後でアクセルペダルを踏むようにしなければならない。
 だが、車に乗っている時にずっと緊張しているとは限らない。停止中に音楽を聴いていたり、他のことに気を取られていたり、あるいはボーとしていることは誰しもよくある。
 そこで信号が青に変わると慌ててアクセルをグイッと踏むかもしれない。結果、車が暴走し、暴走したことで慌ててブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでしまうかもしれない。
 EV車は操作にかなり慣れるまでこの種のミスは起こりそうだ。

 以上、EV車のリスクばかり述べてきたが、いい点もある。
その筆頭が制動操作だ。日産ノート(ばかりを例に出すが他にハイブリット車等は乗ったことがないのでご容赦を)でもそうだがアクセルを緩めるとブレーキがかかるようになっている。
 常にエンジンブレーキを使用しているみたいなもので、これは女性ドライバーや免許取りたての初心者には喜ばれるようだ。
 アクセルを緩めるだけでブレーキがかかるから下りの坂道などは特に走りやすいと好評らしい。
 以上、ボルボのEV車を1日運転した感想である。


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