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東北旅行で垣間見た頑張る企業(1)


 「この辺りも民家がずっと向こうまであったんですよ。いまはなんにもないけど。みんな津波で流されてしまったんです」
 仙台空港まで後数百メートルに近づいた時、それまで明るく喋り続けていたバスガイドが後ろを向き、涙を拭いた。3日間、気丈に振る舞っていたが、最後の最後に彼女が見せた涙だった。
「東北の人間は馬鹿正直だから『頑張ってね』と言われると『頑張るから』としか言えないんです。本当は苦しくて、助けて欲しいんだけど」
「こうして皆さんが観光に来てくれることが励ましになるんです。来て土産を買って、お金を使ってくれることが励ましになるんです。そう私らも言っていますけど、本当は・・・」

 4月29日から5月1日まで東北観光旅行に行ってきた。3年前から弟と「みちのく桜旅」に行こうと約束しながら、やっと実現した旅だった。昨夏、すい臓がんの手術をし、旅行の10日ほど前に転移を疑わせる影が見つかったので、体調が悪ければ取り止めてもいいと思っていたが、大丈夫と言うので、そのままツアーに参加することにした。
 もしかすると、これが兄弟で行ける最後の旅行になるかもしれない。そんな思いを胸に秘めながら行ったので、私には特別な意味がある旅行だった。

アイデア溢れる弁当

 それはさておき、東北3大桜の名所、岩手県北上市・北上展勝地、青森県・弘前公園、秋田県仙北市・角館(かくのだて)桧木内川(ひのきないがわ)の桜並木を巡るツアーも桜が咲いていたのは北上展勝地のみ。出発前に仙台市内の桜はすでに満開になっていただけに、すでに桜が散っていることの方を心配していたが、行ってみると逆で、例年に比べ1週間から10日も遅れていた。
 「はじめての春彩東北3日間」というツアー名からある程度想像できるように、駆け足で東北の名所を巡るツアーであり、観光する時間よりバスに乗っている時間の方がはるかに長く、どこでも上辺を撫でるぐらいの観光である。それでも多少の驚きと発見、ヒントに出合ったので、それらを紹介してみたい。

 まず感心したのが弁当。伊丹空港を発って仙台空港に着いたのが9時半。そこから最初の観光地、北上展勝地まで3時間のバス旅。昼食は走行中のバスの中だったが、この時配られた弁当に感心した。結論から先に言えば、「これは売れる」という弁当だったのだ。
 弁当名は「東北まるごと弁当」。東北6県の祭りや観光名所がイラストで書かれ、ケースは六角形。中央にご飯が配され、その周囲に6つの区画があり、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島各県の代表的な料理が入っている。
 例えば青森のコーナーには焼りんご煮、岩手には南三陸水揚げ秋刀魚の竜田揚げ、秋田はいぶりがっこ、宮城は牛たんシチュー、笹かまぼこ、山形・芋煮、福島・会津味噌の田楽ほかという具合に。

 東北6県をまとめたのは優れたアイデアだ。一般的に弁当は市単位で出しているのがほとんど。それを東北地方をまとめることで一体感を打ち出している。
 東北地方と同じようにエリアとしてまとめやすいのは九州7県、四国4県などがあるが、「九州7県弁当」「四国1周弁当」などというのは見たことがない。少なくとも九州に関してはない。「九州は一つ」とよく言われるのに、観光でも九州の一体感を出そうという発想はあまりないようだ。だから「九州はそれぞれ一つ」と揶揄される。
 弁当箱の外パッケージを外すと六角形のケースが出てくるが、その上に弁当の中身を配置通りに記した、同じく六角形の紙が置かれている。その紙をひっくり返すと「元気です東北!」と大書してあった。「頑張ろう! 東北」でも「絆」でもなく「元気です東北!」というのがいい。

                                                (2)に続く

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