水が人類を、地球を滅ぼす。(5)
〜地下水位の低下は地球規模


地下水位の低下は地球規模

 水不足といえば我々はどこか遠い国で起きていることと、他人事(ひとごと)のように感じている人が多いのではないだろうか。
 しかし既に見てきたように我々の身近な所で起きているし、今後より深刻になることを少しは理解していただけたのではないだろうか。
 決して熊本だけの話ではないし、メガソーラー基地はあらゆる所に建設されている。そしてそれらは線状降水帯の発生で短時間豪雨になれば土砂崩れが起き、ソーラーが崩れ落ち、流され、2次災害を引き起こす可能性もある。

 先に半導体関連企業は大量の水を使用すると書いたが、どこに使われているのかあまりご存じない方もいるかもしれないので、まとめる形で少し触れておこう。
 半導体洗浄に使われるのは一般の水道水ではなく一切の不純物を含まない超純水と呼ばれる水である。それ故、一度使われた水を半導体洗浄に再利用することはできない。
 では、どれくらいの量の水が半導体工場で使われているのかといえば、食品加工工場の年間使用量に匹敵する量がわずか1週間で使われている。いかに大量の水が消費されているか分かるだろう。

 となると気になるのが熊本の水である。
25年4月に県が次のような数値を公表している。
2030年度には2023年度に比べ地下水位が最大1.12m低下する可能性がある、と。
これは熊本だけの話ではない。広島は先頃、米のメモリーチップ大手、マイクロン・テクノロジーが広島工場(東広島市)を2029年度までに1兆5000億円を投じ、拡張する大型プロジェクトを発表したが、水の問題は大丈夫か注視していく必要があるだろう。

 先頃、一応の決着は見せたが、リニア新幹線建設を巡り静岡県の川勝平太前知事が大井川の水位低下を懸念し強硬に反対していた。
 氏の反対に対しメディアも川勝前知事を「悪者」扱いするようなニュアンスの記事が多かったように記憶するが、私は当時から川勝前知事の懸念、指摘の方が正しく、後年静岡県民は川勝氏の警鐘を真剣に受け止めなかったことを後悔するのではないかと感じていた。

 地下水位の低下は取水によるものだけではない。都市化がそれに拍車をかけている。
 都市部周辺は開発が進み農地がどんどん宅地化、ビル化されて行っている。例えば50年前、初めて福岡に来た時、福岡市南区野間辺りはほぼ一面田畑だった。野間大池という場所があるが、そこは文字通り農業用水の大きな溜め池があった所だが、現在は埋め立てられて1/3の広さに縮小されており、その池を見た人はどこが「大池」なのかと疑問に思うに違いない。

 都市化で農地が住宅や商業ビルに変われば、農地だった土地の保水能力は下がると同時に水の使用量は増える。
 地下の帯水層への水の流入が減ればスポンジが乾いていくように土地が萎んでいく。地盤沈下である。高層ビル等の建設が土地の重しになり、地盤沈下を加速させていく。
 最近、各地で起きている道路の陥没は古くなった下水管た地下鉄工事の影響と言われているが、地下帯水層の低下とあながち無縁ではないだろう。

 実際、高層ビル群が地盤沈下にどの程度影響を与えているのかについて、2024年1月24日付の「Nature」に発表された論文によれば、ニューヨークでは年に最大4mmの地盤沈下が起きている。
 またジャカルタ(インドネシア)では地下帯水層の水を汲み上げ続けてきたため、毎年30cmも地盤沈下し続けている地域がある。

 こうした地盤沈下が世界各地で発生しているわけで、温暖化の影響と地下水の枯渇という2つの問題が互いにリンクしながら二重に地球という星を苦しめている。
 ごくごく近い将来、この星に人類は住めなくなるかも分からない。そんな状況下にあるというのに戦争をし殺し合いをしている愚か者達がいる。
 何世紀か後の時代に、かつてこの星にホモ・サピエンスという生物が存在したらしいと語られるかもしれない−−。

#都市化による地下の保水力低下と地盤沈下


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