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間違いだらけの「専門家会議」の提言(2)
〜「ソーシャル・ディスタンス」は間違い


ターゲット設定が出来ていない

 「専門家会議」の提案で今一つ納得がいかないのはリスクターゲットを明確に示さないことだ。世界的に早い段階から若者や子供に感染者は少ないと言われていたし、データで見ても若年者の感染者数は圧倒的に少ない。また重症化した例もないか極めて稀である。
 むしろ感染し、重症化しているのは高齢者と基礎疾患がある人達。それを証明するように介護施設入所者の感染・重症化数が多い。それと院内感染で、市中感染はそう多くはない。それが分かっていながら、ここでも全員に網を被せた。
 とにかくこの国のやることは昔から「総動員体制」だ。結果、皆が右往左往することになった。
 本来、専門家はデータに基づきリスクターゲットを決め、まずそこを守るべきだろう。「政府の対応が遅い」という批判があるが、問題は早いか遅いかではなく、適切かどうかだ。的を射てない対応はいくら早くても意味がない。

「ソーシャル・ディスタンス」は間違い

 今回の「コロナ」騒動では知らないカタカナ語がやたらと氾濫し、意味もよく分からないものがメディアでも当たり前のように使われ出した。
 その1つに「ソーシャル・ディスタンス」という語がある。今回、急に日本でも使われだしたが、この語は日本で使われている「物理的距離」という意味ではなく、社会学で言う「社会的距離」のこと。
 「社会と(精神的に)距離を置く」というような時に使われる語で、心理学では「社会的抑圧」という意味でも使われる。

 人と人との「物理的距離」を開けるという意味で国内では使われているが、それなら「ing」を付けて「ソーシャル・ディスタンシング」と言うべきだ。「ディスタンシング」と言い難いから、言いやすい「ディスタンス」にしたというなら、舌を噛みそうなカタカナ語ではなく「物理的距離」という訳語を使うべきだろう。その方がよほど分かりやすい。
 欧米人との会話で「ソーシャル・ディスタンスを取ろう、取れ」と言おうものなら喧嘩になりかねないだろう。
 お前は嫌いだから付き合いたくない。あっちに行け、と言われと受け取られたり、民族差別、人種差別を受けたと取られる。
「専門家」と言われる人々がそのことを知らないはずはないが、平気で「ソーシャル・ディスタンス」と言っているのは合点がいかない。
                             (3)に続く


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