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間違いだらけの「専門家会議」の提言(3)
「新しい生活様式」で生活できるのか


「新しい生活様式」で生活できるのか

 極め付きは「新しい生活様式」。「専門家会議」は箸の上げ下げまで指導したがるようだが、こんな「生活様式」を真面目に考えているのだろうか。
 人と人との物理的距離を取っての生活を心がけようというのは分かるが、なんでも行き過ぎると窮屈になり、それこそ社会的抑圧(ソーシャル・ディスタンス)を感じ、社会と距離を置き、田舎の「ポツンと一軒家」で生活したくなる。

 動物は群や集団で行動する。一匹狼という言葉があるが、実際には狼だって一匹で行動しているわけではない。ましてや人間は社会的動物である。人と触れ合い、言葉を交わし、助け合って生きている。
 学生の頃、ドイツ語の先生が授業中に「黙って食べるのは動物ですよ。食事は会話をしながら食べるものです」と言っていた言葉を思い出す。
 両サイドに囲いを作り、カウンターの席に座って、目の前のラーメンを食べさせるラーメン屋があるらしいが、私はそんな店には行きたくないし、また実際に行ったこともない。
 囲いの中で目の前にラーメンを出され、それだけを見つめてモクモクと食べろだって。それは人がする食事ではない。牛や豚、鶏がエサを食べているのと同じだ。
 それと同じことが「新しい生活様式」の実践例として挙げられている。
 食事は
 屋外空間で気持ちよく
 対面ではなく横並びで座ろう。
 料理に集中、おしゃべりは控えめに

 屋外で、横並びに座り、会話せず、料理に集中するだって。こんな殺風景で、管理されたような食事風景を真面目に考えているのだろうか、この人達は。
 専門家会議のメンバーがこれを実践していると言うなら「家について行っていいですか」と言いたい。いや、実際に付いて行って彼らの生活を放映してもらいものだ。

 買い物は
 通販も利用
 1人または少人数ですいた時間に
 電子決済の利用
 計画をたてて素早く済ます

 これらは男性の発想であるだけでなく、ショッピングの楽しさという観点が全く欠落している。
 こんな買い物では逆にストレスが溜まるだけだろう。
 通販の利用、電子決済に至っては弱者への視点がまるでない。誰でも彼でもが通販を利用できる環境にあるわけではないということに思いが至らないのだろうか。販売店にしても同じだ。弱小小売店が今欲しいのは現金だ。彼らは今日の売上金で明日の仕入れをしているわけで、だから今困っているのだ。
 電子決済は入金までにタイムラグがある。通常1か月後の入金である。最近はできるだけ早めに入金するというところが出だしたが、それでも即日入金とは違う。
 弱小小売店で電子化が進まないのは、こういう現実があるからで、上記のような「新しい生活様式」は現実を全く知らない連中が立てた戯言としか思えない。

 昔から「専門家(専門バカ?)」の言うことは聞かない方がいいなどと揶揄されているが、「新しい生活様式」などは「合成の誤謬」の典型的な見本だろう。また、それを何の疑問も持たず報道し続けるメディアもメディアだ。


ベルメゾンネット


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