人生100年時代は弱者・高齢者が生きづらい社会(3)
〜アップした高齢者講習費用


アップした高齢者講習費用

 高齢者残酷物語はまだまだ続く。このところ行政、警察、メディアが一体となって大合唱を続けているのが「高齢者の危険運転」。
 とにかく高齢者は認知症を患っているか、その予備軍だと考え「免許の返納」を迫る。それに載せられて免許を返納した途端、日々の買い物や畑仕事に支障が生じ、外出が億劫になって家に閉じ籠もり認知症が進んだお年寄りもいる。

 これって、そもそもの出発点がおかしいと思うが、メディアもそこには一切触れない。なぜ触れないのか。広告出稿をもらっているからで、大物スポンサーを失いたくないために目を瞑っているっておかしくないだろうか。
 「アクセルとブレーキの踏み間違い」で事故を起こしたという報道が多いが、それは事実なのか。仮にそうだとしても、そうした操作ミスが度々起きるなら製造者責任、ハード面の改良を問うキャンペーン報道をすべきではないかと思うが、知る限りでそれはない。

 高齢者には「アクセルとブレーキの踏み間違い」が多いというメディア報道を多くの人が信じ込ませられているようだし、メディアも警察発表の一言で片付け、それ以上に踏み込もうとはしないが、それは果たして本当か。
 まず指摘しておきたいのは「アクセルとブレーキの踏み間違い」事故を起こした車のギヤチェンジ方式である。
 簡単に言えばギヤチェンジは機械式レバーなのか、電子制御シフト(ボタン操作)なのかだ。
 トヨタのプリウス、最近では日産ノートその他がボタン操作の電子制御シフトを導入している。最初の頃、踏み間違い事故はプリウスにほぼ限られ、「プリウスミサイル」という言葉さえあったが、最近では言われなくなった。
 最近ではプリウス以外の車でも踏み間違い事故が起きているからだからだが、詳細に調べたわけではないが、それらの車はボタン操作の電子制御シフト搭載車ではないかと考えている。

 初期プリウスはボタン式ではなくギヤシフトレバーが存在していたが、レバー位置は常に「N」位置に戻る仕様だった。となると今ギヤがドライブなのかバックなのか、どの位置に入っているのかはハンドル前のディスプレーで確認するしかないのだ。ボタン式も同じだが、レバーがない分、感覚的にはよけいに分かりにくい。
 今まで機械式レバー操作に慣れていた人間がボタン式電子制御シフト車に乗ればギヤチェンジに戸惑うことになる。もちろん慣れれば日常的にはそれほど問題にならないだろう。

 しかし、ギヤを入れ間違えたと気付き、慌てて是正操作をした(パニックになった)時などは運転者の意図に反した行動を車が取ることは十分に有り得る。
 メーカーは製造する際、そういう場合を想定しなければならないのは当然だ。またこれだけ「踏み間違い事故」が頻発しているのだから、本来、製造者責任を問う声が上がってもおかしくないが、そうならないのはなぜか。メディアがその問題を指摘しないからだ。

 「踏み間違い」に関連して言えば先頃、免許更新講習を受けてきたが、そこで見せられた映像に「バックをしたり幅寄せをするなどで体を捻った時に足がブレーキから外れアクセルにかかることがあるから注意」と声と字幕で流された。
 これってアクセルとブレーキの距離が近すぎるということを認めているわけで、それを運転者の認識や責任にするのではなく、製造者責任としてメーカーに改良を促すべきだと考えるが、国も警察もメディアもその点に関しては知らんぷり。
「高齢者=認知機能の低下=操作ミスを起こす=免許返納」という図式を描き、ひたすら高齢者に責任を押し付けるような社会はおかしいではないか。

 以上のような図式の下に70歳以上の高齢者に高齢者講習を義務付けたが、その費用が5,100円(昨年まで)かかる。しかも、その金額だけで収まらず、さらに運転免許試験場に行き免許更新手続きをする必要があり、更新手数料2,500円が上乗せになるから、実際に免許更新までに要する金額は7,600円だ。

 ところが2022年から高齢者講習費用が6,450円に値上げされたため、今年、免許更新をする高齢者は8,950円も徴収されるのである。光熱費を含め生活物価が軒並み値上がりしている現在、1万円近くもの免許更新費用は低所得者層にほど重くのしかかってくる。
 まさに高齢者残酷物語と言っていい。低所得者層には長寿を喜ぶ理由などどこにも存在しない。得をしているのは富裕層のみ。
 こんな社会はおかしい、と思わない方がおかしい。


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