楽天市場とアマゾンの違い
ここで疑問が湧いてくる読者もいるだろう。なぜ楽天のみが公取から問題にされ、アマゾンは問題にされないのか、と。
それにはいくつかの違いがあるが、1つは運営形態の違い。誤解を恐れず分かりやすく例えれば、アマゾンはショッピングセンターであり、楽天市場はショッピングモールといえる。
ショッピングモールはモール内にテナントが出店し、それぞれが独自の商品構成、価格で売るのに対し、ショッピングセンターは運営会社が商品を仕入れ、ゾーンごとに商品を並べて売るため、ゾーンの統一感が保たれ、消費者も商品を探しやすい。
ショッピングモールは出店側には個性的な店作りができるというメリットがあるが、消費者は1箇所で商品を探すのではなく、1つの商品でもあちこちの店を廻って見比べなければならない。
これはどちらがどうという話ではなく、それぞれに長所があり、ウィンドーショッピングのようにあちこちの店を廻り、商品や価格を見比べて買うのが好きな人もいれば、1箇所でできるだけ短時間で買いたい人もいるだろう。
ショッピングモールの場合、出店テナントにより送料が違うかもしれない(できれば一律の方が買いやすい)が、ショッピングセンターは送料一律が一般的だ。
後者の場合、なぜ配送料を一律にできるのか。それは運営会社が在庫管理、配送手配を行っているからで、個店ごとに在庫管理、配送手配をするより大幅にコスト削減になるのは説明するまでもないだろう。これがもう1つの違いである。
このほかにも違いはあるが、ここでは両者の比較が目的ではないので、これ以上の説明は省くが、楽天市場は3,980円以上の買い物は送料無料に一律化はしたが、その間のゴタゴタで楽天ブランドが損傷しただけでなく、一部有力テナントの撤退を招いたのは経営的にもマイナスに響いたといえそうだ。
楽天ゴールドカードを改悪
こうした動きと関係あるのかどうか、楽天は4月1日から楽天ゴールドカードのサービスを改定すると、この1月に発表した。楽天ゴールドカードはポイント還元率が高いのが特徴で、それをウリに楽天経済圏への顧客囲い込みをしていた重要なツールである。
同ゴールドカードは年会費が2,200円(税込み)かかるが、同カード利用で1%の楽天ポイントが還元される。さらにSPU(スーパーポイントアッププログラム)では「+2%」のポイントが付与されるから、楽天市場で買い物をちょくちょくする人なら年会費分はポイントで返ってくるため、年会費は実質無料と同じようなものだ。
そういうこともあり楽天は年会費無料の楽天カードから同ゴールドカードへの変更を熱心に勧めていたし、ゴールドカードに切り替える人も多かった。
ところが「+2%」を、4月1日から無料の楽天カードと同等の「+1%」に引き下げると発表。サービスの改悪である。
これならゴールドカードを持つ意味がない。無料のカードで十分だ。実のところ私自身、3月末でゴールドカードから無料のカードに切り替えようと考えている。
そこで同社に問い合わせて分かったのだが、ゴールドカードから無料カードにするには「ゴールドカードからの切り替え」になると言う。
「切り替え」だから新規にカードの発行ではなく、手持ちのゴールドカードは切り替えと同時に使えなくなる。そして切り替えた無料カードはその後で手元に届く。つまり、カードが使えない日が数日間発生するのだ。
そうなるとややこしいのが公共料金などの自動引き落としをゴールドカードでしている場合で、そうしている人は多いと思うが、自動引き落とし先に連絡して引き落としカードを変えなければならない。
ここでまた問題が発生する。新規に発行される楽天カードの番号は以前のゴールドカードの番号とは変わる上、新しいカード番号は新カードが手元に届くまで分からない。
これでどのような不都合が生じるかと言えば、切替日のタイミングによってはカード引き落としができず、ガスとか電力会社等の自動引き落とし先から督促状が届くこともある。
こうした自体は後々のためにもできるだけ避けた方がいい。それが元でブラックリストに載らないとも限らないからだ。
「面倒くさいな〜」。私自身、電話口で何度かこの言葉を吐き、その度にコールセンターの相手から「申し訳ありません」と謝られたが、実際、切り替え手続きが面倒くさくなり、メリットがないと分かってもゴールドカードを持ち続ける人もいるかもしれない。
(3)に続く
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