MIZUNO SHOP ミズノ公式オンラインショップ

 


企業経営を突然襲ったCOVID-19、大戸屋、ドンキの今後は(2)
〜ドンキ急成長の功労者が突然退職に


ドンキ急成長の功労者が突然退職に

 次はドン・キホーテ。他の小売業が苦戦している時でも常に売り上げを伸ばしており、最近では総合スーパーのユニーを買収するなど拡大を続けている。小が大を呑み込むことはあるにはあるが、そうそうはない。
 ドン・キホーテとユニーの関係はまさにそれだったが、同じ流通業同士とはいえ「驚安」を売り物にしたディスカウントストアのドン・キホーテと、総合スーパーのユニーはカテゴリーが違う。そういう点でもドン・キホーテとユニーの合併は珍しいと言える。
 しかも合併早々、ユニーの店舗数店をドンキ風に変更した。ユニーとドンキでは社風も売り方も全く違う。当然、ドンキ風の店づくりに違和感を抱き、やり方に付いて行けずに離れて行った従業員もいただろう。

 問題はドンキ化した店がその後どうなったか。なんと直後から売り上げがアップしている。営業時間の延長や、ユニーの従来客と違う若者が増えたことも一因だが、その一方で周辺住民からの苦情も殺到した。夜、照明が明るすぎて眠られない、夜遅くまで若者が行き来してうるさいなどが代表的な苦情だ。
 こうしたデメリットはあったにせよ、スーパーを立て直したドン・キホーテ式経営は小売業者から注目されたはずで「小売りの勝ち組」と評された。

 それまでは「ちょっと変わった面白い店」だったドン・キホーテを小売業の雄にまで成り上げたのが2代目経営者の大原孝治前社長。創業者は安田隆夫氏で、大原氏はよくある創業者の娘婿でも縁戚関係でもなさそうだ。いわば子飼いの社員で、大原氏の力量を見込んでバトンタッチをしたわけである。
 ところが好事、魔多しとはよく言ったもので、ドン・キホーテ大躍進の立役者が昨年(2019年)9月にグループ内のすべての役職を突然辞任したから驚いた。

 このような場合、業績悪化の責任を取って辞任(取らされ解任)するというのが一般的。しかし同社を拡大、躍進させた立役者(何もなければ中興の祖と言われていたかも)が突然グループを去るということは異常としか言いようがない。
 というのも19年8月の決算説明会で「米国事業に思い切り打ち込み、大輪の花を咲かせたいというロマンとモチベーションを前から持っていた」と大原氏自身が語り、今後は米国法人の社長職に専念する考えを発表していたからである。

 その2か月後、証券取引等監視委員会が大原氏の関係先を強制調査。そして今年(2020年)12月3日、東京地検特捜部が金融商品取引法違反で大原氏を逮捕した。ユニーとの合併前に自社株の購入を知人に勧めたという取引推奨容疑。
 現段階で分かっていることでは大原氏本人がそのことにより何らかの利益を得たわけではなさそうだということだが、創業者の安田氏が19年1月に取締役に復帰していること、「不祥事があって辞めさせられた」という噂が当時あったことなどを考え合わせると、まだ表に出てない何かがあったのかも分からない。
                                            (3)に続く

PC・家電商品がお買い得!NTT-X Store


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る