集落に移動販売車がやって来た。(4)


 この移動販売は1週間に一度決められた曜日にやって来るため、翌週も見に行き、いつもの好奇心丸出しであれこれ質問。
 どうも近隣にチラシは配布していないらしいし、70前後と思われる移動販売担当者は「私はバイト」だと言う。時間いくらで動いているし、チラシ配布などは社員の仕事で、自分達にはそこまでする時間がないと言う。といっても決められた仕事しかしないと言う言い方ではなく「うちにも来てくれという要望は増えている」から、社員はもう少し開拓に力を入れて欲しいという口振りだ。



 なるほどスーパーは移動販売を今後の柱の1つに育てようという意識はまだなさそうだと感じる。

 せっかく来てくれ出した移動販売も気付いた時には来なくなっていたでは困るので、2度目に来た時、気付いたことを少しアドバイスした。
「音楽はこの場所に止めてから流しているようだが、それではごく近くの人しか聞こえないので、ここに着く少し前から音楽を流して来たらどうか。そうすると気付き、買いに来る人も増えると思うよ」
「そうですね。では、あの信号辺りから音楽を流し来るようにしましょう」



 「とくし丸」は個人事業主だから売上高を含め効率を優先し、売り上げが下がると来なくなるという継続性の問題がある。イオン系移動販売もその懸念はゼロではない。移動販売が定着するか否かはその事業にどれだけ本気で取り組めるかにかかっているだろう。

#移動販売


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