不正列島ニッポン(2)〜犯罪、不正行為に鈍感な社会(3)
〜大学、TV局まで不正を


大学、TV局まで不正を

 いまや不正はこの国のあらゆる分野でごく当たり前のように行われているという事実を我々は残念ながら認めざるを得ないだろう。泥棒を取り締まる警察官が同僚の財布を盗んだり、捜査資料をでっち上げて書いたり、特殊詐欺の受け子役をしたり、小中学校の校長が長年盗撮をしたり、教え子と性的関係を結ぶかと思えば、商品6,000円分をレジを通さず店外に持ち出し、取り押さえられると「料金は払うつもりだった」と言い訳をした小学校の女性教諭が等々耳目を疑うような犯罪行為が横行している。

 許せないと考えるのは校長を始めとした教諭や大学の学長、教授、准教授など生徒や学生を指導する立場にある人間が不正行為や犯罪に手を染めていることだ。
論文掲載のデータ改竄や盗作は当たり前のように行われているし、研究費の不正請求や、中には約19年間に渡り通勤手当906万円を不正受給していた准教授もいる。いずれも名が知られた国立大学の学長、教授、准教授である。

 もう1つ、さほど問題にされず、まるでなかったことのようにされ、当の本人も不正の自覚が薄いのか、それとも嵐が通り過ぎるのをちょっとだけ身を屈めて通り過ごしていればいいと考えたのか看過できない不正があった。
 医師であり宇宙飛行士でもあるJAXAの古川聡氏が代表を務めた医学研究チームのデータの捏造や改竄である。古川氏が直接データの捏造や改竄に手を染めてなかったとしても、チームの代表として責任がある。
 にもかかわらず彼もJAXAも国のガイドラインの捏造、改竄、盗用には該当しないと説明して、それ以上問題化しようとはしていない。
 有名な宇宙飛行士が関わった研究に傷を付けたくないのか、有名人ならデータの捏造、改竄があっても許されるのか。
 科学者として許されないことだと思うし、こういうことを許せば科学への信頼を失い、その道に進もうと考える後輩達はこの国からいなくなると思われるが、そうした危機感は彼らや教育者にはないようだ。

 こうした不正に比べれば鹿児島読売テレビが情報番組でタマネギの糖度を捏造して報道したことなどは小さなことのように思えるが、メディアへの信頼を失わせたという面では小さなことと見過ごせる問題ではないだろう。
 どうすれば不正をなくすことができるのか。一人ひとりが不正に目を瞑らず、不正を目にすれば、おかしいと声を上げていくだろう。


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