「コロナ」を侮ってはいけない。


栗野的視点(No.883)                   2026年1月30日
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「コロナ」を侮ってはいけない。
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 勘が働くか働かないかと言えば働くタイプではない。
敏感か鈍感かと言えば、どちらかと言えば鈍感な方だろう。
俊敏に即座に反応できるタイプではなく、じっくり考えて反応する方だと思うが、一方でおっちょこちょいなところがあり、失敗も多いなどと自己分析をしてみる。
 だから神社仏閣にお詣りしても「気」を感じたことはないし、ましてや霊感など全く働かない。

 それなのにある人のことが気になり、連絡を入れたり訪ねて行くと1、2か月前に旅立たれたと知らされることがここ数年相次ぎ、その度に後悔している。
ああ、どうしてもう少し前に訪ねて行かなかったのか、と。

 つい最近もそんなことがあった。
正月の3社詣りも終わり少し落ち着いた中旬頃、いつもは行かない高宮八幡宮に詣ってみようかと珍しくパートナーが言うものだからバスで近くまで行った。
 高宮八幡宮まで行くなら少し手前のバス停で降りれば知人の自宅があるはずだから、神社に行く前に寄ってみようと考えた。
 知人というのは技術畑一筋に歩んで来られた元昭和鉄工の常務で、同社の創業者一族の一人でもあった。
 知り合ったのは氏がまだ在職中の時で、同社の社長を私が取材したことがあり、その後に当時の社長から「面白い男がいて、製品開発と販売の橋渡しみたいなことを考えてリエゾン九州という会を主催しているから一度参加してみたら」みたいなことを言われたらしい。
 それがきっかけで、以後何度も例会に顔を出され、その後の懇親会(飲み会)にも参加されるなど親しくお付き合いをさせていただき、一度など自宅を訪ね、庭木の剪定をされている姿が見えたので、そのまま立ち話をしたりもした。
 その後、私が母の生活支援で岡山県の実家と福岡を行き来するようになってからご無沙汰続きになったが。

 以来、氏の動向が気になりながらも、ついつい今日まで来てしまったが、せっかく近くまで行くのだから自宅を訪ねてみようと思い立ったのはいいが、記憶の場所に屋敷はなくマンションが建っていたので記憶違いだったかと思い神社へと足を運んだ。
 それでも諦めきれず、神社にお詣りした帰り道。今度はもう少し範囲を広げ周辺を20分近くも歩き回ったが結果は同じだった。

 帰宅後、住所録を取り出しGoogleマップで調べると、番地の場所は老人ホームになっていた。
 やはり記憶にあった場所は自宅で間違ってなかった。だが老人ホームになっているということは家を売られてどこかに引っ越されたのだろうか。
 もし、そうなら電話も通じないかもしれないと思ったが、それでもと電話をかけてみた。

 受話器の向こうで「はい、飯田です」という女性の声が聞こえてきた。
「あの・・・、飯田久泰さんのお宅ですか」
「はい、久泰です。どちら様ですか」
「栗野と言います」
「主人とはどういうご関係の方ですか」
 電話の声に怪訝さはなく、どこまでも丁寧で上品な口振りだった。
 氏との関係などを掻い摘んで説明しながら、その途中で先方が何か言いた気な気配を何度か感じたが、相手の言葉を聞くのが怖くて話し続けた。
 だが、いつまでも話し続けるわけにはいかず心を決め
「飯田さんはご在宅でしょうか」
 と尋ねた。

「実は主人は亡くなったのですよ」
 一番聞きたくなかった言葉が返って来た。
 奥さんの話では昨年11月に他界されたとのこと。
「去年の夏は暑かったでしょ。それで熱中症のようになり倒れたんですの」
「病院もいくつか移りましてね。最後はコロナにかかりまして」
「院内感染です。それで亡くなりました」
 口振りからは悔しそうな感じが伝わってきた。
それはそうだろう。熱中症で倒れた時は何日か入院すれば治って退院すると思っていたはず。それがまさかCOVID-18で亡くなったとは。

 COVID-18が2023年にそれまでの2類感染症から季節性インフルエンザ等と同等の5類感染症に変更され、それ以降に罹患した人からは「コロナは大したことがない。インフルエンザに罹った時の方がよっぽどきつかった」と言う声をよく聞く。

 だが軽く侮るのは危険だろう。
現実に大流行(パンデミック)当初は世界中で多くの人がCOVID-18で亡くなっているし、日本でも流行初期に罹患し亡くなった人や、亡くなりはしなかったが後遺症に苦しんでいる人がいるのも事実だ。

 氏のように「コロナ」に罹患して2か月前に亡くなられた人もいるのだから、決して手放しで安心できる感染症ではない。
 やはり怖いのは高齢者の罹患で、日頃から免疫力を高めておく、最低限、免疫力の低下を防ぐ努力は必要と、私自身自戒した。
 免疫力を高めるには軽い運動(ウォーキングなら8,000歩程度がいいと言われている)がいいらしい。そしてストレスがない生活を送ることとのこと。

 最後に飯田久泰さんの御冥福をお祈りします。
 どうか安らかにお眠りください。


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