ワープロが普及した時はよかった。日本人が開発しただけあり、キーがやさしかった。特にシャープ製は入力していても疲れなかったし、新聞記者が開発に協力したこともあり、変換効率がよかった。
その点、PCの日本語変換は悪かった。「一太郎」の頭の悪さに苛立ち、日本語変換辞書は他社製を数社使っていたが、当時よかった日本語変換辞書は今すべて残ってなく、結局、生き残ったのは「ATOK」だけ。資本の論理で、中身はよかったが資本力が弱いところは生き残れなかった。
国産で唯一生き残ったジャストシステムのATOKもgoogle、MicrosoftのIMEにほぼ駆逐された。
PCはWindowsが出る前のMS-DOSの時代から使い始めたが、初期の頃は本体、ディスプレー、キーボードはセット売りで、キーボードの単体販売などなかったし、その後もタッチ感に拘って開発する企業などなかった。
それでも打鍵が軟らかい、タッチ感がいいキーボードを探し求めて何個も買い求めた。
ただ、キーボードを替えてもQWERTY配列入力をしている以上、左手小指の使用頻度は下がらない。
最も弱い左手小指を多く使うものだから、次第に小指を内側に曲げて守るようになり、「A」の打鍵を薬指でするようになる。だが小指を曲げた状態で薬指を伸ばして打つことは難しく、薬指も小指と一緒に内側に曲げたままになる。
とまあ、こうして順に指が開かなくなり、今では左手は人差し指の1本打鍵。
振り返ってみれば、かれこれ60年近くも毎日毎日キーボードを叩いてきたのだからペンだこならぬ腱鞘炎になるのもやむを得ないが、ここ数年は左手指の第1関節が膨れ、痛み出してきた。
調べてみると「へバーデン結節」らしい。
これはかなりマズイ。キーボードを叩くのをやめてノートの手書きに変えることも考えた。
手書き文字をデジタルに変換するペンとノートがあるらしいので、それを購入しようかとも考えたが、似たようなものは10数年前に買ったことがある。その頃に比べると文字の認識率はアップしていると思われるが、余分な出費をするだけで、結局使わなくなりそうな予感がしたからやめた。
最善の方法はキーボードを叩くのをやめること。つまり断筆である。
これは以前、医師からも言われた。「指を使わなければ治ります」と。
もう高齢者だ。のんびり、ゆっくり生きた方がいい。
これからはカメラを持って各地に出掛け、写した花の写真をブログ(栗野的風景)にアップする生活にシフトしていくのがいいのではないかと思ったりしている。
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