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今すぐできる「踏み間違え」3つの防止策(1)
〜80歳以上と軽自動車の事故が急増


 連日のように報道される高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違え事故でついに政府が対策に動き出した。その内容は次の3つに分かれる。
1.急加速抑制装置の導入
2.自動ブレーキの搭載義務付け
3.高齢者向けに安全運転サポート車限定免許制度の創設

 自動車メーカー各社もこの動きに同調(歓迎)する意向を見せている。というかすでに先取りして動いている。ただ、自動車メーカーの踏み間違え対策の方向性に多少の疑問を感じもするが、防止策に取り組む姿勢は評価したい。

 本メルマガでも過去、数度に渡り「踏み間違え」問題について書いてきたので、以下を参照していただきたい。
 「No.570:高齢者の運転事故は本当に激増しているのか」((2017/1/31))
 「No.581:ブレーキとアクセルの踏み間違いについて考える」(2017/6/8)
 「No.593:再び、ブレーキとアクセルの踏み間違いについて考える」(2017/9/20)

80歳以上と軽自動車の事故が急増

 最近は「高齢者の運転=危険、事故」という論調がメディアで目立つ。きちんとした分析なしの、ざっくりと一括りにした取り上げ方が多いように感じるが、前提条件をきちんと分けて論じるべきだろう。でないと、結果が違ってくる。
 例えば
1.高齢者が引き起こす交通事故は多いのか、増えているのか。
2.高齢者とは65歳以上なのか、70歳以上、あるいは80歳以上か、それとも85歳以上なのか、高齢者の定義を明確にする必要がある。
3.「高齢者の交通事故」という場合、交通事故一般なのか「踏み間違え」によると見られる交通事故のことなのか。
 こういうことを明確にせず「高齢者」という言葉で一括りにすれば課題も対策も的を射ないものになるだろう。早い話が「高齢者向けに安全運転サポート車限定免許制度の創設」という場合の「高齢者」とは何歳からのことなのか。

 交通事故発生件数に限ってみれば10年前に比べ、ほぼ全年齢で減少傾向にある。その中で発生件数が多いのは免許取得後あまり間がない24歳以下の若者であり、75歳以上の交通事故発生件数はほぼ横ばい。しかし、80歳以上で見ると増えているのだ。このように「高齢者」といっても交通事故件数が増えている年齢層と横ばいの年齢層がある。
 また普通自動車、軽自動車、軽貨物車という自動車クラス別に交通事故件数を見れば、10年前に比べて横ばいか減少傾向にあるのが普通自動車で、軽自動車と軽貨物車は増えている(公益財団法人 交通事故総合分析センター)。
 軽が増えているのはともに登録台数が増えているからだが、現職リタイア後に車を小さくする傾向は身近なところでもよく目にする。特に80歳以上ともなると軽自動車に乗り換える傾向が強い。これは収入の問題と運転能力、運転頻度の問題が大きく関係しているようだ。少なくともリタイア後に車を大きくしたという話は聞いたことがない。

 75歳以上に占める軽自動車の保有台数は10年前に比べ増えており、それに比例して事故件数も増えているが、昨今の「踏み間違え」によると思われる交通事故報道を見聞きしていると、市街地での事故が多いような印象を受けるが、実際には市街地の人口集中地域、市街地のそのほかの地域、非市街地別で見れば、全年齢を通じて事故発生件数が多いのは非市街地という結果が出ているのである。
 さらに75歳以上に限ってみれば、正面衝突事故と工作物への衝突事故の2種類が突出している(交通事故総合分析センター)。しかも、対向車線にはみ出しての事故が正面衝突事故の4分の3を占めているのだ。

 こうした事故防止には車線跨ぎ・はみ出し走行の際にアラームが鳴るなどの「安全運転サポート機能」搭載は効果があると思われるだけに早期に全車種に搭載して欲しいところだが、搭載は新規発売車からであり、旧車種や現在保有している車に後から搭載することはできないようなので、短期間での実効性は期待できない。
 また新機能搭載車は購入価格がかなり割高になっているのも問題で、価格が高ければせっかくの安全機能も普及しずらいのが問題だろう。
 せめて国なり自動車メーカーが補助金を出し、数万円程度の上乗せで買えるようにすべきだろう。販売台数が多く、特に中高年層に高い普及率を誇っているプリウスには後付け安全装置でもなんでも率先して搭載するぐらいのことをトヨタはしてもいいのではないだろうか。過去最高益を出しているのだから、それぐらいの顧客還元をしてみてはどうか。
 そうすればネット上で「プリウスミサイル」などという心ないレッテルを張る人もいなくなるだろうし、トヨタの評価が上がり、人々はこぞってトヨタ車を買うに違いない。その結果、会社の売り上げとシェアはアップし、ついでにトヨタの株価もアップするだろう。
 これからの時代、企業は儲けるだけではなく、社会貢献こそが企業価値を高めていくのだから。
                                      (続く)


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