桜まつりでローカル線の未来に思いを馳せる(2)
大量輸送から中量・少量輸送へ


 JR各社に欠けているのは自分のことしか考えていないこと。自己中(ジコチュウ)です。地域と協力、地域と一体となって、と言っても、それは自分達がアイデアを出し地域に働きかけるのではなく、地域にアイデア、企画、金銭等の負担を押し付けるやり方です。

 こういうのを昔から殿様商売と言いますが、彼らにはその気分が抜け切っていないのではなく、色濃く残っています。
 自分達が出かけて行くのではなく、駅のスペースを提供するから出店しろ、イベントを行えというやり方。
 そこには地域目線の思考はありません。

大量輸送から中量・少量輸送へ

 重要なのは考え方を変えることです。「鉄道=大量輸送」の時代は終わっています。これは世界共通です。今世界中で起こっているのは「高齢化と人口減少」。
 人口が集中しているのは東京だけで、地方都市は県庁所在地でさえ軒並み人口が減少しています。

 つまり大量輸送の必要性がなくなっているということで、大量輸送を経営の根幹に据えたやり方では今後成り立たないのは明らかです。
 発想を大量輸送から大都市は中量輸送に、それ以外の地域は少量輸送に切り替えるべきでしょう。かつて製造業が大量生産から多品種少量生産に切り替えたように。

 ローカル路線は運行本数が多くて1時間に1本で、多くの路線で通学時間帯を除けば2時間か3時間に1本です。つまり線路は遊んでいる時間が圧倒的に多いわけです。
 車でも同じですが、機械は使用されなければ劣化しないわけではなく、その逆で、使用した方が状態はよく長持ちします。ほとんど使用しなくても保守点検費用はかかるわけです。
 それなら使用してやった方がいいわけで、鉄路の場合、使用するとは列車を走らすということです。

 こういえばJR各社は乗客がいないのに走らせてもムダだというでしょう。バカの一つ覚えのように。
 乗客がいなければ乗客をつくればいいわけですが、その発想は彼らにない。

 一度、逆転の発想で運行本数を増やしてみればどうだろう。本数が少ないから利用しずらいわけで、本数が増えれば利用者が増えるかもしれないではないか。
 もちろん一朝一夕に効果が出るわけではない。そんな悠長に構えていることはできない、とまた彼らは言うでしょう。
 それならイベントごとに列車を増便する、イベントを作り期間運行をする。先に見たように津山城桜まつり期間は増便(車両編成を増やすのではなく便数を増やす)する。兵庫県小野市の桜まつりや同ひまわり祭り、兵庫県佐用町のひまわり祭り期間は増便する、そのほか夏から秋にかけては各地で祭りが開催されるからそれに合わせて祭りイベント列車を増便する、紅葉列車を走らせる等々、考えれば人を呼ぶ企画はいくらでもありますよね。

 元々ローカル線は運行本数が少ないのだから増便させるのは絶対不可能というほど難しいことではないはずです。要は実行するかしないかだけです。

 と、まあ私ごときがいくら言ってもJRは聞きもしないでしょうが、それでも地方の行政ぐらいは動いてくれると少しは変わるのではないか。
 そんなことを姫路の桜を撮りに列車で行った帰りの車中で考えたりしました。


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