分断する社会では独裁化が進む。(2)
〜菅ブレーンが中小企業を潰す


 トランプの最大の罪は大統領自身がフェイクニュースの発信元になり、アメリカ国内のみならず世界にフェイクニュースを流行らせ、メディアに対する信頼を著しく貶め、自国民を分断したことだろう。
 分断はトランプ支持派と反支持派という分類だけではなく、富裕層と貧困層、エスタブリッシュメント(既存体制)と反エスタブリッシュメントなどあらゆる分野でなされた。そしてそれは現状に不満を抱いている人々を自身に引き付けるために行われた。

 本来、こうした動きは反体制運動として結集していくのが歴史の常だが、逆にトランプ体制支持へと向かったところにアメリカ社会、現代社会が抱えている複雑な問題がある。
 冷静に考えればトランプ自身は富裕層であり、エスタブリッシュメントに属する人間なのだから、彼が貧困層や非エスタブリッシュメントのために本気で何かを成す、例えば社会福祉制度を充実させるとか、富裕層に増税し貧困層に回すということなどありえない。にもかかわらず、彼の分かりやすい言葉に騙され、既存体制を打ち破り、貧困層の生活を改善してくれると信じ込み、トランプ信者になっていき、大統領がニセ情報など流すはずがない、ニセ情報を流しているのは既存のメディアで彼らの方がデタラメを言っている、とさらに熱心な支持者になっていった。

菅ブレーンが中小企業を潰す

 こうしたトランプ現象はアメリカに特有のものでも、今に始まったものでもない。日本では小泉純一郎氏が「自民党をぶっ潰す」とか「抵抗勢力」という言葉を使い、敵か味方か、イエスかノーかと単純に2元化し、分かりやすい言葉で人々に訴え、選挙に勝った。
 彼がやったことは郵政民営化だが、それを強く、執拗に働きかけていたのがアメリカで、彼らは郵貯の巨大マネーを解体し、日本市場に参入したかったわけだ。そのお先棒を担いだのが竹中平蔵氏だが、そのことは当時もあまり大きく語られてこなかった。

 竹中平蔵氏がやったことは非正規雇用を増やし、格差を拡大したことだが、菅首相とも親しい間柄らしく菅ブレーンとして性懲りもなく同じようなことをやっている。因みに竹中氏は現在、人材派遣会社パソナの会長に就任しているが、この一事を見るだけでも彼が何を、誰のためにやって来たのか分かろうというものだ。

 さらに、ついでに言えば菅政権のブレーンで「成長戦略会議」のメンバーにデービッド・アトキンソン氏が加わっている。彼は「日本の生産性が低い原因は、大企業に対する中小企業の生産性比率が低いこと」だから、中小企業を再編しなければ日本の経済成長は望めないと主張している。

 効率重視、生産性重視の観点からすれば、「中小企業の生産性が低い」のは事実だろう。しかし、「それが何か?」と言いたい。
 彼の主張の先にあるのは中小企業、それも小規模企業以下の所は生き残れない、潰してしまえということだ。
 その結果、日本の生産性はアップするかもしれないが、その恩恵を受けるのは誰か。それでこの国が、この国で暮らす人達が幸せになれるのか。

 少し考えれば分かることだが、生産性アップのためには文句一つ言わず24時間働き続けてくれるAIロボットを全体か一部分導入することだ。早い話、人を削減し、ロボットに置き換えれることだ。
 すでに大企業はそうなってきているが、それを中小企業まで推し進めれば企業の「生産性」は上がるだろう。ただし、そこまでの設備投資ができる企業は中小企業の中でも規模が大きい企業に限られ、小規模企業は潰れるしかなくなる。

 なるほど、それもやむを得ない、と感じる人もいるかも知れない。では、中小企業の数と、そこで働く従業員の数はどれくらいなのか。
 概算で中小企業は約380万社あり、3300万人が働いている。この内、小規模企業が約320万社と圧倒的多数を占めている。
 つまり中小企業の生産性を上げるということは、少なく見積もっても300万社は何らかの形で消滅する(消滅させられる)。そして、そこで働く1000万人〜3000万人の従業員が職を失うということだ。                                               (3)に続く


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