栗野的視点(No.826) 2024年5月7日
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不正列島ニッポン(3)〜横行するデータ改ざんに手抜き工事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今我々は「不正まみれの国」に住んでいる、と言っても過言ではないだろう。食は産地を偽装し、コロナ禍での不正受給は相次ぎ、学者は論文の盗作や試験データを自分に都合よく改竄して発表する。
栗野的視点(No.759):不正列島ニッポン(1)〜日本の食が危ない。
http://www.liaison-q.com/kurino/Asari-honey1.html
栗野的視点(No.801):不正列島ニッポン(2)〜犯罪、不正行為に鈍感な社会
http://www.liaison-q.com/kurino/Kinkitourist1.html
「メードインジャパン」の幻想
これらは即座に直接、生命に関わるというわけではない。だが、多くの人命に直接関わる不正が横行しているならどうだろうか。「いやー、大変だ」と嘆くだけか、それとも怒るだろうか。
「それは見過ごすことができない。怒るに決まっている」と言われるかもしれないが、実はこうした不正が横行しているにも関わらずメディアを含め多くの人はさほど怒っていないように見える。まるで怒ることを忘れたかのように。
かつてこの国にはある幻想が蔓延っていた。「メードインジャパン」という幻想が。
いまではすっかりメッキは剥げ落ち、「メードインジャパンは信頼の証」どころか「不正の証」になっている。
その不正もつい最近始まったわけではなく、80年代から行われていたと聞けば驚くに違いない。
80年代といえば「ジャパンアズナンバーワン」と日本が持ち上げられていた頃。その頃から不正が行われていたわけで、昨日今日始まったわけではない。それも中小・弱小企業ではなく、日本を代表する大手企業で行われていたのだから根は深い。
問題はそうした不正が隠蔽され、見逃され、半ば平然、公然と、そして半ば組織ぐるみで行われ続けてきたことだ。ダイハツ工業、大成建設、IHIといえば誰もが知る大企業である。まさかと思われるだろうが、それがこの国の真実の姿なのだ。
大企業がこれだから後は追って知るべしとは言い過ぎかもしれないが、当社はやっていない、と胸を張って言える企業がどれだけ存在するだろうか。
トップは「知らなかった」と言うかもしれないが、本当に知らなかったのか、それとも知らぬ振りをしていただけなのか。
もし、本当に知らなかったのなら、その企業のトップは現場を掌握していない、現場に足を運んでいないトップで、それだけで失格だと思うが、私が言っていることは間違っているだろうか。
ダイハツ工業、大成建設、IHI3社の不正はいずれも人の生命に関するものだけに軽く見ることはできない。にもかかわらず「不正」という言葉が問題を軽く認識させてしまう。
これは不正というより犯罪に類することだと思うが、なぜかこの国は直截な言い方を避け、やわらかい言葉に置き換えて、問題を矮小化する傾向がある。
例えば「敗戦」を「終戦」と言い換え、「占領軍」を「進駐軍」と言い換えることで、問題の本質を隠し、責任、ダメージを軽くしようとする。
こうした傾向は最近ますます強まり、グループからの「脱退」や番組「降板」を「卒業」と言い換えたり、窃盗した女を「いただき女子」と表現するに至っては犯罪を覆い隠す片棒を担いでいるのと同じだろう。
言葉をあやふやにするから責任もあやふやになる。こうしてこの国は戦後、今に至るまで責任を取らない無責任体制でやってき、無責任体質が集団から個人にまで染み付いている。
だから余程の不祥事でもない限り組織のトップが責任を取って辞めない。
(2)に続く
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