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「コープこうべ」の移動販売車に突撃取材をする(3)


 無商店舗・高齢化の地方では生協の配達はありがたい存在だった。私の母も歩いて行ける距離に商店がなくなってからは生協の配達が頼みであり、組合員になって共同配達で購入していた。
 ただ、生協の商品は通販と同じで1週間前に注文する必要がある。要はその日に食べたい食品をその日に選んで買うのではなく、1週間後のことを考えて注文するわけだ。
 結果、冷凍庫の中には同じ商品がいくつも入っていたことが何度もある。「冷凍庫の中を確認してから注文するように」と母に何度も言っていたが、それは土台無理な話だということに自分が70代になって気付いた。スーパーに買いに行って似たようなことを自分も何度かしているからだ。
 やはり商品は目の前で選ぶのがいい。生きるために食品を選び食べるだけでは味気ない。食品を選ぶ楽しみは食べる喜びにも繋がるからだ。

 生協は早くから共働き・子育て世代など買い物の時間を自由に取れない家族や買い物弱者向けの対策を行ってきたにもかかわらず、なぜ従来のやり方から脱皮できないのか不思議だ。

 「内部(なか)を見てみますか」
 コープこうべの移動販売車は2トンロングとちょっと大型の箱型車で、後ろのドアを開けながら内部を見せ、梯子状の階段を引き出し中へ入らせてくれた。
 2トンロングだけあり「とくし丸」やマックスバリューの軽4と比べて食材は多く載っているし、中央に通路が設けられ両側の棚から食材を選んで取ることができるようになっていた。

 

 ただ、内部に乗り込んで食材を選ぶ形式は効率が少し悪いように思えた。車中に乗り込めるのは1人か2人で、内部で擦れ違いできないこともないが、狭いので自由に動けないのが難点だ。
 その点、軽4改造型は車の周囲から食材を選び、手に取ることができるため一度に5、6人は集まって買うことができるのが利点だ。

 コープこうべの移動販売車には軽4型もあるのかもしれない。たまたま遭遇したのが2トンロング車だっただけかも分からないし、マックスバリュの移動販売車でもそうだったように、巡る地区によって車のタイプを変えているのだろうと思う。
「店と距離が離れているから途中で商品の補充に帰ることがでけしまへんのや。そやからこのサイズやないと」
 ドライバー兼販売員からそう説明され、神戸からの移動距離を感じるとともに、地方は公民館や廃校跡など駐車スペースに困ることはないから小型車である必要はないかとも感じた。

 効率の問題を尋ねた時、返ってきたのは「燃費が悪いのが問題。この車、リッター4kmやから」という言葉。
「私らもボランティアでやってるわけやないので、せめてトントンにはならんと」と移動販売の使命を感じつつも、企業として利益を出せるかどうかの問題がある、というのはマックスバリューで聞いたこととも共通していた。

 コープこうべの移動販売が同業他社と違うのは販売価格で「うちは店頭販売と同じ価格です」と自慢げだった。
 とくし丸にしろマックスバリューにしろ移動販売で扱う商品は店頭価格に1品10円上乗せ価格になっているが、コープこうべの移動販売はそれがないのだ。この点はグリーンコープの移動販売も同じようだ。

 給油中の短い時間だったが好奇心から話しかけ、質問した結果、いろんなことが分かった。だから質問癖は治りそうにない。

#移動販売


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