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「コロナ」が変えた社会(V)
〜世界は中国化していく(1)」


栗野的視点(No.691)                   2020年6月17日
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「コロナ」が変えた社会(V)〜世界は中国化していく
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 「アメリカファースト」に凝り固まったトランプ米大統領は自国経済の悪化もCOVID-19による米国民の死者数増も、悪いのは全て中国のせいにして自身の支持率アップを図ろうとしている。だが彼の思惑とは反対に中国の世界への影響力は確実に広がりつつある。
 そしてCOVID-19の世界的大流行(パンデミック)が一段落した後、世界はほぼ間違いなく中国化しているだろう。

「コロナ」後は中国が世界標準に

 未知のウイルスへの感染者が最初に発見されたのは中国で、そのウイルスは少し前に流行したSARSウイルスに似ていたので「SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)」と名付けられ、このウイルスによって引き起こされる感染症は「COVID-19」と名付けられた。
 中国・武漢市でCOVID-19の罹患者が増えだした当初、中国は情報を公表せずひた隠しにしたため世界から批判を浴びたが、その後の対応は素早く、武漢市を封鎖するという強権的なやり方でCOVID-19の封じ込めに「成功」したように見える。
 中国はSARSの時も情報を公開せずWHOから批判されたが、今回の対応はその反省に立ったものではなく、対応はまったく同じだった。
 それでもCOVID-19の封じ込めに「成功」し、中国全土への感染拡大を防いだことから、世界各国が中国のやり方に倣ったのは知られている通りだ。

 個人的には中国の「成功」に倣ったのは「ボタンの掛け違い」だったのではないかと考えているが、中国の封じ込め「成功」を目の当たりにした各国指導者は中国と同様の方法を、同様のやり方で行った。強権的な都市封鎖(ロックダウン)である。

 なぜ、世界の政治指導者達はここまで強権的な方法に踏み切ったのか。なぜ、民主主義国家の国民が大した反対もせず、自由と私権の制限にやすやすと従ったのか。本当にSARS-CoV-2は狂暴なウイルスなのか。
 そうしたことが本当に解明されるのはもう少し後になりそうだが、現段階でもはっきり分かっていることが1つだけある。
 後の時代に「COVID-19の前と後」と語られるほど、この感染症が我々の世界を変えてしまったということだ。

 それは何か−−。結論から先に言えば、民主主義の崩壊と世界の中国化である。さらに言うなら、アメリカという「帝国」の完全なる崩壊と、それに代わる中国という「新しい帝国」の覇権確立だろう。

 そして意図するとしないとに関係なく、それまで世界の秩序を維持していた民主主義国家はCOVID-19を契機に経済のみならず政治的にも中国の覇権の下にひれ伏したことを意味する。それと同時に、それまで「グローバルスタンダード」とほぼ同意語だった「アメリカスタンダード」は「チャイナスタンダード」に変わることも。
                                           (2)に続く


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