国は誤りを認め、「コロナ」対策を変換すべき(3)
〜TVと専門家が怯えを煽る


TVと専門家が怯えを煽る

 2つめは中国武漢市の都市封鎖とアメリカの死亡者数の多さから来る「敵の過大評価」だろう。毎年流行しているインフルエンザより毒性は弱く、死亡者数も少ないが、初期段階ではそのことが分からず「未知のウイルス」に誰も彼もが冷静さを欠いた。その中にはウイルスや感染症の専門家も含まれている。

 とにかく中国の対応は世界にショックを与え、狼狽え、怯えさせたのは間違いない。そして世界中の人々を過剰防衛に走らせた。
 初期段階では人々が怯え、右往左往し、パニックになるのは仕方ないが、ある程度、事態が分かるようになった後でも怯えが鎮まるどころか増幅していったのは少し異常だ。人々の不安を煽る要素がそこになければ、ここまで怯え、過剰防衛に走ることはなかった。

 では何が不安を煽り続けたのか。それは「専門家」とマスメディア、特にTVである。
「TVを観ても新聞を読んでも、今日は何人感染したというニュースばかりだから、どこにも行けないし、何もできない。もう、うつ病になりそう」
 ある知人女性はそうこぼしていた。
そんなに気になるならTVを観なければいいじゃないかと思うが、そういうわけにもいかないらしい。どうも世の多くの人はBGM代わりにTVを点けているようで、帰宅すればまずTVのスイッチを入れる。なにか音がしていないと不安なのかも分からないが、そのことが逆に不安を煽る材料になっているのだ。

 観ているわけではない、聴いているわけではない、と言うが、気になる言葉は耳に飛び込み、聴こえてくるもので、その言葉を意識すればするほど不思議と耳が反応する。そして、また感染者が何人増えたと知らされ、怯える。
 回復者数も増えているが、そちらは報道されず、感染者数ばかりが強調して報道されるから、感染=危険=死に至る病という図式が刷り込まれていく。これではメディアが国民を怯えさせているのと同じである。

 またTVに出てコメントする「専門家」も怯えを増幅させている。「その道の専門家」なのだからきちんとした客観的・科学的事実に基づいて話していると視聴者は思いがちだが、案外そうではない。TVに出演してコメントする前にディレクターの事前取材、打ち合わせがある。そこでディレクターの求める内容に沿ってコメントするか、求める部分だけが編集されて、コメントとして映しだされる。
 TVが求めるのは地味な内容のコメントではない。「インフルエンザの方が怖いですよ」なんてコメントすれば採用されないし、そういう専門家はお呼びではないから、どこの局も同じように危機感を煽るような内容ばかり報道することになる。

 もうTVはそうした姿勢を改めるべきだ。今夏の熱中症による重症者や死亡者は屋外でも常にマスクを着用していなかったか、マスクを着用してジョギングや散歩をしていなかったか等を調べてみてはどうか。そのことが熱中症による緊急搬送や死亡に影響していた可能性はなかったのか。

 COVID-19より熱中症予防の方が重要とか、夏場は体力が落ち、食事もあっさり系で済ますことが多くなりがちだが、それでは免疫力も落ちるので、免疫力をアップするために、こういう食事をとりましょうなどという報道をしたらどうなのか。

意味がない「GO to キャンペーン」

 まず政府が方針を公式に転換する必要があるだろう。現在の「Go to 〇〇キャンペーン」を見ていると、なし崩し的に方針を転換しているようにしか思えない。
 きちんとした説明がなく、なし崩し的に変えていくやり方は安倍政権の特徴だが、もうここらでCOVID-19に対する対応の変換を公式に認めるべきだろう。
 今までは感染者への対応を重点的に行ってきたが、SARS-CoV-2の毒性は弱いと分かったので、重症化を防ぎ、重症者への対応を重点的に行うようにする、と公式に表明すべきだ。

 実のところ、体力・免疫力が落ちている高齢者や基礎疾患がある人が重症化しやすく、若い人は感染しても自覚症状がなかったり、いつの間にか治っていることが多いということは比較的早い段階から分かっていたことだ。また集団感染しやすい場所は高齢者施設と病院だということも。

 資源を集中すべき重点箇所は高齢者施設と医療機関の2箇所で、そこでの感染を徹底的に防げば、この感染症はそれほど恐れるようなものではなかったわけで、今頃になってSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の毒性はインフルエンザなどと比べると弱い、という説が表に出てきている。
 本当はもっと前から言われていたのだろうが、そういう説を今までメディアが取り上げなかったということだろう。

 一方の政府はと言えば御用専門家を集めて会議をしているわけだから、政府のその時々の都合に沿った内容を報告し発表する。そのことは専門家会議の議事録が要約で、個別委員の発言が記録されていなかったことや、尾身茂副座長が元厚生省の医療技官だったことからも分かるだろう。
 結局、国民は政府と「専門家会議」に踊らされ、未だに右往左往している。踊らされる方も悪いが、昔から日本国民は「お上」に弱く、「お上」の指示待ち人間が多い。それはメディアも同じで、「欲しがりません勝つまでは」と唱え、8月15日まで国民に真実を知らせず、「大本営発表」を一方的に流し続けたわけで、今また同じことが繰り返されている。

 政府は「Go to トラベル」をはじめとした各種キャンペーンを実施し、COVID-19対策で停滞した経済を活性化させようとしているが、補助金負担が増すだけで、効果はごく一部に限られるだろう。
                             (4)に続く

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