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二極化するベーカリーショップ(2)
〜急増している100円製パン


急増している100円製パン

 トレンドと言えばBの100円パンもそうで、Bだけではなく全国に「100均」パンが急増している。100均ショップが支持されているのと同じように、100円製パンショップもパンの種類が豊富な上に「えっ、これが100円」という内容が支持され、全国で売れている。
 因みにB店は京都本店だが、京都・大阪には各1店しかない。多いのは九州各県で福岡県内24店、佐賀県3店、熊本県7店、長崎・大分各県1店と、ほとんどが九州での店舗展開だ。
 経営母体はパンを含む食品とは無関係の会社だから異業種からの参入である。
 特徴は製パンを謳い、店内で製造・販売していること。そのため従業員数は通常のベーカリーショップと同程度。当然、多売しなければやっていけない。

 100円製パンの出店パターンは色々で、私が利用している所は住宅地の路面店で、家賃もそう高くはなさそうだが、中にはスーパー(GMSを含む)等のテナントとして出店している所もある。そういう所は売り上げの何%という形でテナント料が決まるし、最低売上高契約みたいなものがあるかもしれない。
 いずれにしろ売上高があるラインより低ければテナント入れ替えということになるかもしれないので、テナント出店にもメリット、デメリット両面がある。

 ところで100均パンは今のトレンドと書いたが、私が帰省時に利用する岡山県のスーパー内にも100均パンが入っている。
 以前は普通のベーカリーショップだったと思い、その旨質したところ2年前に100均製パンに衣替えしたとのことだった。
 つまりその前頃から100均製パンが全国で増えていたわけであり、その背景にはデフレによる低所得層の増加がある。
 では、アベノミクスによる景気好転と言われて以降はどうなのか。今後もこうした動きはさらに広まるに違いない。なぜなら大多数の国民に景気の実感は乏しいというか、むしろ生活の厳しさは逆に増していると感じているひとが各種調査でも増加あるいは横這いだからだ。
 所得の二極分化は是正されるどころか、下流に移動する人の数の方が多くなっているし、低価格志向はすでに10数年続いている。そこに100円で買えるパンが登場すればいままでほかのベーカリーショップやスーパー等の菓子パンを買っていた人が100均製パンに流れるのは当然だろう。

生き残りが厳しい既存パン店

 100均パンが増えれば既存のベーカリーショップは大なり小なり影響を受けるだろうと思われるが、その影響をもろに受けたのがB店近くのベーカリーショップ。こちらは住宅街のメーン通りにあるから店舗立地はB店よりいい。にもかかわらず、あまり売れてない。
 売れてない理由はパンの種類が少ないことが1つ。たまに寄ってみようかと思いながら店の前を通るが食パン以外に並んでいるパンが少ないから、結局外から眺めるだけでドアを開けずに帰ってしまう。
 もう1つは客が少ないこと。卵が先か鶏が先かのようだが、商品が少ないから選択肢が狭まり客が少なくなる。客が少なくなると店に活気がなくなり、ますます客は入らなくなるという負のスパイラルに陥る。

 この店をDとし、100均パンのB店と比較してみよう。
営業時間
 B店:朝8時〜午後6時
 D店:朝10時〜午後7時
商品価格
 B店が100円均一だが、D店は100円以上の商品
商品の種類
 B>D
共通点:両店ともに店内で製造している

 つまりD店は価格、開店時間、商品の種類、店の活気等全ての点でB店に負けているのである。これではそう遠くない内に閉店せざるを得ないだろう。私の読みでは年内で閉店するのではと考えている。
 (*10月下旬、同店は10月末で閉店との張り紙が出された)
 これはなにもD店に限ったことではなく、平均的なベーカリーショップに共通して言えることだ。
 せめて味、食感がはっきり分かるほど悪ければ100均製パンに客が流れることはないだろうが、一般のベーカリーショップと変わらない味なら、実際私にはほとんど差はないように感じられた、人は安い方を選ぶだろう。
                                          (3)に続く

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