生産量の減少こそが必要
さて、先に「温暖化防止策には重要な観点がいくつか抜けている」と指摘した問題に移ろう。
現在、叫ばれ、取り組まれている温暖化防止策はすべて「出口」対策である。レジ袋は使わないようにします、電力の使用量を減らしましょう、そのためにエアコンの温度設定を〇度に上げましょう、〇度に下げましょう、化石燃料を自然エネルギーに替えましょう、省エネ製品を使いましょう、ガソリン車からプラグインハイブリッドや電気自動車に替えましょうetc。
過去にこんなCMがTVで流れたことがある。「古い電気製品を省エネ対策の新しいものに替えましょう」(言葉は正確ではないが)というような内容で、電化製品を新製品に替えた方が省エネになるというものだった。広告主は政府だった。
このCMには強い違和感を覚えたものだが、同じように感じる人達がいたのだろう、放映期間は短かった。
このCMの何が問題かといえば、1つは省エネに名を借りた消費行動を促している点であり、もう1つはトータルで見た場合の省エネ率がどうかという点である。
私が問題にしているのは後者の点である。温暖化防止策で本当に必要なのは川下ではなく川上対策だと考えるからだ。
もちろんリサイクルや少消費行動は必要だ。だが、その前に物量作戦を展開しているメーカーこそが問題ではないのか。
例えば車の生産台数やモデルチェンジサイクルは妥当なのか。大量生産・大量販売を続けるユニクロなどのファストファッションメーカーは衣類を作り過ぎではないのか。
とにかく身の回りを見渡すだけでモノが溢れているのが現代だ。なぜ、そんなにモノを作り、消費者に次から次へと買わせようとするのか。
そのためにどれだけの資源を食い潰し、環境破壊を続けているのか。それを消費者のためと言うなら、それは詭弁だ。すべて自分のため、自社の利益のために他ならないだろう。
そうした経営者には「足るを知れ」と言いたい。被災地に寄付をしたり物資を送ることもいいことだ。しかし、本当に望んでいるのは毎年のように各地で起きる集中豪雨が起きる一因でもある温暖化を止めることだろう。
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