株主優待の取り止め、改悪が続出
楽天モバイルの赤字は今回のコロナ禍とは関係ないところで生じているが、コロナ禍の影響を直に受けたのが外食産業。大半の企業が時短の影響で売り上げが軒並み前年比ダウンになり四苦八苦している。
そこで採算悪化の店舗を閉鎖したり、テイクアウト・デリバリーを始めたり、既存店をテイクアウト専門に業態転換したりして凌いでいるが、ファーストフードが前年比アップの売り上げになっているのを除くと、外食産業の売り上げは半減(対前年同月比)近い。特に落ち込みが激しいのが居酒屋チェーンで90%超ものマイナス。まさに存亡の瀬戸際に立たされている。
そこで少しでもコストを削減したい上場企業の間で流行っている(?)のが株主優待制度の改悪。
株主優待制度は顧客の囲い込み、ファン確保にイメージアップも図られると、一時期導入に走る企業が相次いでいたが、今は逆の減少が起きている。
価格の値上げなどと違い一般客に目立ちにくい上に結構なコスト削減になるとばかりに、コロナ禍で売り上げが大幅ダウンしている企業が株主優待の改定を始めたのだ。
因みに20年12月末段階で、株主優待を廃止・改悪した企業は89社と、前年を上回っている。この内すべてが業績悪化が理由ではなく、株主優待を廃止した代わりに配当金を増やした企業もあるが、少数派である。
外食産業の中で株主優待の還元率が高くて人気なのが「すかいらーくホールディングス」だが、このコロナ禍で売上高が昨年4月マイナス58.2%、5月マイナス47.8%(前年同月比)と大きく落ち込み、今期赤字を計上ということもあり、9月に株主優待の減額を発表した。
その結果、従来100株で同社グループで利用できる3000の円の優待カードを年2回貰えていたのが、2000円×2回=4,000円に減額。300株なら年20,000円が10,000円へと半減した。それでも同グループの優待カードは使い勝手がいいので、今でも株主優待人気の上位にランクしているようだが。
他にも従来100株から貰えていた株主優待を500株からに引き上げた企業(日華化学ほか)や、半年以上継続して保有していないと優待を貰えないように改定した企業(味の素ほか)は結構多い。
このほかにも1年以上の保有に条件を改定した企業(ジュンテンドー、松屋フーズほか)や、保有株数を100株から200株以上に変更した企業など、サービスの改悪が相次いでいる。
サービスの改悪という意味ではミスターマックス(福岡市)は従来、第3日曜日は同社カード利用で5%OFFというサービスを今春から取り止めた。
それでも、これらの企業は告知するだけまだ良心的だが、なかには4月以降の消費税込み価格表示の義務付けに便上してこっそり値上げした岡山県・湯郷温泉のGホテルのようなものもある。これなどは従来価格と比較表示しているわけでも、どこにも値上げの案内を表示しているわけでもないので、コロナ禍で苦しい事情は分かるが、ほめられたやり方ではない。
こうしたやり方は自社のみならず温泉地全体の評判低下にもなり、ひいては地域の顧客離れを引き起こすことになると知るべきだろう。
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