デル株式会社

 


視点を変えてマーケットを見れば(2)


新規市場、既存市場、魅力的なのは

 さて、今度は少し視点を変えて新規市場、既存市場への参入について考えてみよう。
この2つの市場のどちらに参入したい、あるいはどちらが参入しやすいと考えるだろうか。
 恐らく新規市場への参入と答える中小企業経営者が多いのではないか。
理由は次のようなものだろう。
 夢がある。
 新鮮味がある。
 競合はいないか圧倒的に少ないだろうから価格競争に巻き込まれなくて済む。
 適正な利幅を確保できる。
 価格決定権を握れる等々だろう。

 これらが大きなメリットであることに異存はない。そして、うまくいけば市場を独占とまではいかなくても、その市場で圧倒的なシェアを確保できるかもしれない。
 「ざっと見ても○兆円市場だから、仮に少なく見積もって○%のシェアを取れただけで△億円の売り上げが見込める」
 こうした話はよく聞く。ただし、その通りに行ったという話はほとんど聞かないが。取らぬ狸のなんとかやらで、大半はその途中で泡となって消えたようだ。

 では、なぜ新規市場への参入(開拓)がうまくいかないのか。ひと言で言えば、楽しい夢だけを見てリスク、つまり途中の苦労やハードルを軽く見ているからだ。
 戦略的には敵を軽視し、戦術的には敵を重視する、というのが戦いの基本だが、新規開拓の場合は得てしてその反対、「戦略的にも戦術的にも敵を軽視」する傾向がある。

 前出の例で言えば、靴を見たことがない人に靴を売るためにはまず靴とはどんなもので、履くとどのような利点があるのかを知らせ、分からせ、履いて歩くイメージを湧かせなければならない。いわば靴というモノと一緒に靴の文化を売るわけで、それができた時に市場が急拡大する。
 ただし、問題は商品の認知度を上げるのに時間と労力がかかることだ。その場合に取り得る方法は2つ。認知度が高まるまで粘り強く待つか、大量のCM、サンプルを投入し、一気に認知度を上げるか。

 前者は時間がかかり、後者はかなりの資金が必要になる。結局、どちらの方法を取るにしても人的、資金的余裕がなければできない。特に前者は半ば使命感とボランティア精神が支えで、商売的儲けからは縁遠い。
 かといって短期に認知度を上げようとすれば、それなりに資金を投入する必要がある。果たしてそこまでの人的、資金的余裕があるかどうか。そのことが結果を左右するといっても過言ではないだろう。
 それだけで終わればいいが、やっと認知され始め、市場性が見えた頃に大手企業が資金に物を言わせて市場に参入し、あっという間にかっさらっていく例はよくある。それどころか市場を掻きまわされた挙句、市場そのものが潰されてなくなった例さえある。

 では、既存市場の場合はどうか。すでに市場性があり、商品の認知度が高いだけに販売労力は少なくて済むだろう。その代わり競合が多いから競争は激しくなる。よほど他社と差別化できる武器を持たなければ勝ち残りはおろか生き残ることさえ難しくなる。
                                               (3)に続く

最大3カ月間、プラン月額料金が無料!「BIGLOBE LTE・3G」特典実施中


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る



ソースネクスト:ズバリ画像変換