なぜ赤色の車が流行るのか。(3)
〜インダストリーデザイナーを女性に


女性の進出が車を変えた

 もう一つは女性の進出である。女性ドライバーが増えたことにより、従来のように男性を対象にした車づくりから女性を意識した車づくりに変わらざるを得なかったし、また変わってきた。
 また、車選びに夫婦、カップルで来ることが増えている。つまり車に乗る女性が増えただけでなく、車選びの際に女性の意見が取り入れられるようになってきた(女性が選択権を握ってきた)ため、従来のように男性を意識した黒など力強い色だけではなく、女性に好まれる色を使わざるを得なくなったのだ。
 こうしたことが赤だけでなくカラフルな色やカラーバリエーションが増えた背景にある。

 男性はエンジン出力や加速力といった仕様(スペック)をとかく語りたがる傾向にあるが、女性は運転や乗り降りのしやすさ、かわいらしさなど車に求めるものが違う。
 当然それはデザインに反映される。まず軽自動車に、続いて小型車に。それでもまだ普通車(中型)はデザインが男性仕様である。特にフロントマスク周りは。

 デザインは自由である。仕様が決められていても、その範囲内で自由にデザインできる。それなのになぜ、似たようなデザインばかりなのか。車は四角でなくても三角でも五画でも球形でもいいだが、そうならないのはなぜか。
 なにも目を吊り上げて怒り顔で走らなくても、垂れ目のパンダ顔でもいいではないか。トヨタは歌舞伎役者顔風の車を造ったが、垂れ目のやさしい顔のデザインにはまだしようとしてない。

 なぜ、なのか。その理由に触れる前にデザインを男性を象徴する四角四面から、うんとコンパクトにして丸みを帯びたデザインに変えることで売り上げを伸ばしたメーカーがある。ボルボである。
 ボルボ車といえば前後部が長くて四角張った形が特徴だった。その頃は一部熱狂的なファン層はいたものの、売れ行きは大したことなかった。
 それがデザインを全面的に変更し、丸みを帯びたコンパクトな車にした途端、売れ出した。女性に支持されたのだ。
 それまでのボルボは、こう言うとなんだが建設・建築関係など、四角なものを作る人達がよく乗っていた。実際は違うのだろうが、そういうイメージだった。実際、私が知っている建築家は2人とも四角なボルボに乗っていた。まあ、たまたまかも分からないが。

インダストリーデザイナーを女性に

 デザインの話に戻ろう。女性ドライバーが急増し、車の選択権も女性が握り出したにもかかわらず、まだ車のデザインは男性を意識している。
 自動運転車が間もなく実用化されようとしている現在、車はやさしい乗り物に変わるべきだ。にもかかわらず、何度も言うが、車は目を吊り上げた怒り顔なのか。
 答えは車をデザインしているのが男性だからだ。男性のインダストリーデザイナーが女性をターゲットにして車をデザインしようとしているから、せいぜい色づかいを女性好みにしている程度なのだ。
 結局これでは変わらない。インダストリーデザイナー、それもチーフデザイナーが女性になれば、車はもっとやさしい乗り物になるはずだ。そうすれば事故、少なくともあおり運転などは間違いなく減るだろうし、アクセルとブレーキの踏み間違い事故も減るのは間違いない。
 車メーカーは屋上屋を架す、技術に技術を積み上げて、車をますます複雑で訳の分からないモノにするのではなく、「省く技術」の発想を取り入れることと、女性をインダストリーデザイナーに登用するよう進言したい。


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