「パワステオイル漏れ、災難でしたね」〜読者から


 昨日、早速、お馴染み読者の堀さんからメールが届きました。
堀さんからは毎回教えられますが、今回も色んな事が分かりました。
まずパワステのオイル漏れはいままで耳にしたことがないと書きましたが、堀さんによると、それは珍しいことではないそうです。
 その他にもいくつか分かったことがありますが、まず堀さんから届いたメールを以下に紹介します。
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栗野さん、こんばんは。視点643「思わぬ伏兵が…」拝読しました。愛車のパワステオイル漏れ、災難でしたね。しかし、大事(これ、後で書きます)に至らなくて良かったです。
私は以前、一般向けの某自動車雑誌に『新車でも8万km以上、中古車なら6万km以上乗り続けちゃダメ!』といった趣旨の記事を書いて、クライアントのカーショップからも、1台の愛車を長く乗っておられる読者からも大バッシングを受けたことがあるので、以来、あまり口に出さないようにしているのですが、パワーステアリングオイル漏れって、あくまで“統計的には”のハナシですが、だいたい総走行距離8万〜10万kmあたりで発生することが多く、たちが悪いことに、判らないくらいの量がポタポタ漏れるか、ドバッと漏れるかは、そのクルマ次第、走り方や保管の仕方次第、結局は「運次第」なんです。
「いつ発生する」という予測が困難で、整備工場であっても発見するのが難しくて、ましてや車検程度では絶対に見つからない故障の1つです。

パワステオイルに限らず、そのあたりの走行距離でトラブルが起きやすい機構は他にもいくつかあって、その結論として、『新車でも8万km以上は…』の持論に至っております。

最近は、一部の高級車と軽自動車(これは小型化のため)で「電動パワステ」採用車が増えてきましたが、多くの車種はまだまだ「油圧式パワステ」です。その名前通り、油圧でステアリングシリンダーを動かす機構なのですが、オイルポンプからステアリングシリンダーに至るオイルの経路上に、「サクションホース」(ポンプに流す)、「プレッシャーホース」(ステアリングシリンダーに流す)、「リターンホース」(リザーバータンクに戻す)という3種類のゴムホースがあります。

材質の改善が進んだとは言え、やはりゴム系の部品ですから、経年と熱、圧力で徐々に劣化して、ひび割れたり穴が開いたり、場合によってはスポッと抜けたり…といったトラブルが、いずれは高確率に起こります。オイルポンプの異常なら電装系の警告ランプが点きますが、ゴムホースの異常まではさすがにセンサーの設定しようがなく、整備工場でもポンプなど機械部品については確認しますが、ゴムやプラスチックのホースまではチェックしません。エンジンルーム内には、他にもホース類が山のようにありますから、それらを1つひとつ見るのは時間的に不可能なんです。

さらに、これも大バッシングを受けたことがあるのであまり書かないようにしているのですが、栗野さんが書いておられた『先月中旬には車検整備も受けたばかり』は、申し訳ないのですが、何もしていないのとほぼ同じなんです。
検査場では、「スピードメータ検査」「ブレーキ検査」「ヘッドライト点灯検査」など、走行するのに“最低限”必要な8項目をチャチャッと確認するだけです。もうすぐ壊れそう…とか、ここが外れそう…といった丁寧な目視は行いませんし、検査を受けているその瞬間、8項目の検査項目に引っかかる故障がなければそれでOKという性質のモノです。

もちろん、ディーラーなどの指定整備工場では、車検の前に法定12ヵ月点検も同時に実施するのですが、これは車検を受けるための形式的なモノなので、実質的には車検の8項目に該当する箇所しか点検しません。乱暴な言い方ですが、我が国の車検制度は、重量税や自賠責保険掛金などの税金類を、確実に“回収”するためにだけ設けられているものなんです。

過去、パワステオイル漏れによる色々なトラブルを見聞きしたことがありますが、車種によってはプレッシャーホースの真下にオルタネータ(発電機)があって、漏れたオイルがオルタネータに侵入したことでバッテリー上がりとか、高速走行中にオイルがドバッと漏れたことで、いきなり操舵性が低下してあやうく事故とか、「大事」としか言いようがない危険なケースもアリです。
そういう大事に至らなかったのは、栗野さんの運の良さかもしれないですね。

視点の最後に、『最近相次いで明らかになっている(国産車の)ずさんな検査体制と不正隠し』のご指摘がありましたが、多走行のクルマに乗るより、ずさんな検査をパスした新車に乗る方が、走行中にトラブルに遭うリスクははるかに低いと思われます。これ、あくまで私の持論で、またまたバッシング食らいそうですが…(苦笑)。
高速道路で長距離を走る栗野さんには、この際、スズキのスイフトへの代替えをお勧めしますよ。

ほり編集事務所
堀 辰也
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 私が今乗っている車は初年度登録から13年で、走行距離は14万km超。堀さんに言わせれば完全に多走行車ですね。
 いままで高速・長距離運転をしているからエンジンの調子がいいんだと思っていましたが、言われるように、たしかに多走行、それも市内ちょこちょこ走行ではなく、長距離高速走行ですから車に負荷がかかっているのは長距離走行の方ですね。
色んな所が傷んでくるはずです。

 いまの車、後3年、最短でも2年乗って廃車という予定でしたが、少し早まりそうですかね。乗り心地はいいし、よく走るんですけどね。
 前の車は10万kmほどで買い替えましたが、その時、自動車工場の工場長から70万円出せば新車同然にしてあげます、と言われました。さすがにその話には乗りませんでしたがね。ただ、燃費はいま乗っている車と変わらずで、年式は古かったが、これもよく走りましたね。

 高速道路走行の安定性という意味でBMWは気に入っているんですが、今回のように岡山県に帰省中にトラブルが発生すれば岡山市まで1時間半かかって車を持っていかなければならないし、来年あたりバルコム岡山は倉敷に近い地域に移転するみたいで、そうなると県北東部からはさらに遠くなりそうだから、次は国産車ですね。
 ところで「アクセルとブレーキの踏み間違い」事故は軽自動車でも起きていますかね? 耳にしたことがないような・・・。


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