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激増している警察官の発砲問題を考える(2)
〜至近距離からの発砲が増加


30歳前後の若い警察官に多い

 3つ目は30代前後の若い警察官に発砲事件が多い点だ。これはとても危険な徴候である。若い世代の銃に対する抵抗感がなくなってきているというか、ある種の憧れすら抱いているのではないかとすら思わせる。
 その徴候はすでに20数年前、オウム真理教がロシアから武器を輸入しようとした頃からあった。そして近年の無差別殺人事件である。銃と刃物という違いはあるが、武器という範疇では同じで、入手しやすいものがサバイバルナイフ等の刃物だったというだけだ。
 もし銃が簡単に入手できるなら彼らは刃物ではなく銃を手にしていただろう。実際、交番に侵入して警察官から拳銃を奪ったり、奪おうとした者がすでに現れている。

 銃に興味を持っている人間がそれを合法的に所持できる職業は警察官である。逆に言えば銃に興味を持っている人間が警察官を目指す可能性も否定できない。もし、そうなら今後、警察官による発砲事件はさらに増えることが考えられる。

 発砲事件に限らず警察官の不祥事はこのところ増えている。警察官のモラル低下、人材の質の低下はかなり前から少しずつ進んでいる。窃盗、痴漢、セクハラを起こすのは大体20、30代の若い警察官だ。
 彼らは使命感に燃えて警察官になろうとしているわけではない(そういう人間も皆無ではないだろうが)。多くは就職先の一つとして警察官という公務員を選んだだけである。

 対して受け入れ側の体制はどうか。リクルート(人材確保)の仕方はどうか。頭数確保優先で、言葉は悪いが多少学校や試験の成績は悪くても体格がよければ現場の警察官として採用したりしていないか。福岡県では児童性愛者で多少問題があった人物が警察官になり、その後問題を起こした事件もあった。これなど事前のチェックが甘かったと言わざるを得ない。
 いま問題を起こしているのはキャリア採用組ではなく、現場配置の巡査である。彼らの採用後の教育、現場配置後のフォローアップ教育は適切に行われているのだろうか。昔ながらのやり方ではなく、今の若者に合った教育方法で。

至近距離からの発砲が増加

 4つ目。実はこれが最も重要な点だが、至近距離から威嚇射撃もなしに発砲している点である。
 至近距離から何発も撃てばどうなるかは分かっているはずだ。にもかかわらず、弾倉が空になるまで撃ち尽くしているのは、一つには恐怖に駆られてのこともあると考えられるが、腑に落ちないのは日頃の訓練が全く生かされていないことだ。
 例えば学校等に侵入した不審者対策で警察官が出向きデモンストレーションをしているが、その時使用しているのはサスマタで取り押さえるという方法である。
 なぜ、そういう物を使用しないのか。交番にはサスマタを常備していないのか。仮にそうしたものが身近になかったにしても、巡査は腰に警棒(今は3段式の伸縮警棒)を下げているし、それらを使った護身術も身に着けているはずだ。
 にもかかわらず上記のいずれの件でも警棒を抜いたという記録はない。警棒ではなく、いきなり拳銃を取り出し撃っているのだ。本当に拳銃で撃つ以外に取り得る方法なかったのか。

 日本の警察は拳銃の取り扱いに関しては厳しい規制を課している。ところが、こうした事件後の会見では決まって「拳銃の使用は適正だと考えている」と記者会見で発表するのがこのところの常だ。
 本当に「適正」だったのか。もう少し慎重かつ厳正に検証する必要があるだろう。中には銃の使用ではなく、他の方法があったような事案も見られるし、仮に発砲した場合でも下半身を狙うなどすれば容疑者の抵抗力を奪うことができ、射殺という最悪の事態は避けられたのではないか。そう思える事案が結構見受けられる。
 ところが既述したように弾倉が空になるほど相手に向けて撃ち続けているのである。これでは射殺(殺意あり)やむなしと考えていたと受け取られても仕方ない。

 銃の過剰使用による射殺が問題なのは1つは犯行動機の解明ができなくなるからである。犯行に至った動機や経緯が解明できなければ、今後同種の犯罪を防げない。あるいは防ぐ手助けにならない。

 もう1つは流れ弾によって無関係の人が巻き添えになる危険性があるし、誤認射殺される恐れさえ出てくる。アメリカで起きているように犯人と間違われて射殺される恐れが。
 2018年5月、熊本市の住宅街で警察官が5発撃って容疑者を射殺した事件、同2月、大阪市JR京橋駅近くの路上で正午頃に職務質問したところ刃物を取り出し抵抗した男に向けて発砲した事件はいずれも住宅街や繁華街といった周囲に人がいる場所である。無関係の人が巻き添えになった可能性は高かった。

                                              (3)に続く

PREMOA(プレモア)


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