激増している警察官の発砲問題を考える(3)
〜背景に拳銃使用の規制緩和


背景に拳銃使用の規制緩和

 最近でこそ警察庁、県警本部は警察官による拳銃発砲を受けて「拳銃の使用は適正だと考えている」と会見では決まって答えているが、以前は必ずしもそうではなかった。
 例えば2002年4月9日に滋賀県大津市内で警察官が拳銃を発砲し容疑者が死亡した事件では「拳銃使用が適正だったかどうかの判断を一時保留する」と警察庁長官が定例記者会見で発表している。
 「車両が停止せず、周囲の人や物に衝突しながら逃走しようとした」ので車の後部から発砲したとされたが、県警発表が二転三転するなど詳細が不明なため、警察庁は県警に詳細な報告書の提出を求め、その段階で発砲が適法かどうかを判断し、発表するとした。つまり、それくらい拳銃の使用には慎重だったのだ。

 それが2010年代に入って、特に2018年は警察官が拳銃をたやすく発砲しだしたのはなぜか。
 その背景として2つのことが考えられる。1つは2001年12月に「警察官等拳銃使用及び取扱規範」を改正し、拳銃使用に対する規制が緩和された点。これで従来必要とされていた威嚇発砲を行わずとも「容疑者に向けて直接発砲」できるようになった。
 規制緩和された背景には凶悪犯罪の増加があるが、銃使用に関する規制が緩和されたからといって、現場の警察官がいきなりバンバン撃ち出したわけではない。それまでの慣行もあり、発砲に慎重な姿勢は保たれていた。
 だが規制緩和から10年以上がたつと現場の警察官も様変わりしてくる。拳銃の取扱規範改正後に警察官になった者も28歳以上になっている。彼らは警察官になった当初から「容疑者に向けて直接発砲」していいと教わっている。ならば実を守るために撃って当然となる。

 しかし、だ。仮に100歩譲って、「職務を遂行するにあたり、その身に危険が生じると判断しうる場面に遭遇した」から発砲したとして、第3者の目撃者がいなければ本当にそういう場面だったのかどうかは分からない。「過剰反応」ということは十分考えられる。

 もう1つの背景は特にTVだがマスメディアと警察との癒着である。ゴールデンタイムと称される時間帯に「警察もの」が最近よく放映されているのをご存知だろう。全国の警察に密着して、彼らが容疑者を確保する現場をドキュメントしている番組で、複数局がほぼ定期的に放映している。あの番組は視聴率が稼げるらしい。視聴率が稼げるから、またしても放映するわけだが、ミイラ取りがミイラになるという例えがあるように、密着取材するためには警察と仲よくしておく必要がある。裏を返せば警察に「不都合な真実」は報道できない、報道しない。

 警察官の発砲事件を批判的に取り上げれば、次から「密着取材」を拒否される可能性がある。それでは視聴率が稼げない。だから警察に密着取材ではなく、癒着して不都合な真実を葬り去ることにする。
 メディアからの批判がないから、発砲は許されたと警察の方も判断する。記者会見で「拳銃の使用は適正」と言いさえすれば、それで一件落着と考えたかどうかは分からないが、これだけ発砲しながら問題にされることがないのは異常としか言い様がない。

拳銃携帯を規制すべきだ

 なんでもアメリカの後を追いたがる日本だが、このまま行けばこの国もアメリカ並みの銃社会になってしまう。そうならないためにはどうすればいいのか。
 拳銃を発砲しているのが現場の巡査であることと考え合わせれば、巡査の拳銃携行を禁止すべきではないか。銃の保管は警察署で一括して行い、警察官は日常的に銃を携行しなくなれば、警察官を襲って拳銃を奪おうとする犯罪はなくなるだろう。銃に代わるものとしてサスマタや警棒、護身術の修得をより強化すればいいと考えるがどうだろう。


【工事不要で届いたそばからすぐ使える!とっても便利なソフトバンクエアー!】


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る



G-Tune

ロフトネットストア|バッグ・トラベル用品・ファッション雑貨