まあ、それは別にして、ここまで頻繁にキャッシュバックキャンペーンを行っていると、年中キャッシュバックキャンペーンを行っているのと変わらない。
小売り店の「セール」は期間限定だから消費者の購買意欲を掻き立てるわけで、年中セールをしていれば、今買わなくてもいいと、購買行動を抑えることになる。そうなると逆効果である。
キャッシュバックキャンペーン自体は他メーカーも行っているが、今回のニコンほど頻繁に行うことはない。それはキャンペーンをやりすぎると通常価格で売れなくなるからであり、売上高もその分減少する。
ニコンにしてもそれは分かっているはず。にもかかわらず、なぜほぼ年中キャンペーンを実施するのか。
利益が減少しても売り上げが欲しい、ということだろう。裏を返せば、それだけ窮しているということだ。
ニコンは生き残れるのか
ニコンの肩を持つわけではないが、いくつかの番狂わせがあったのは事実だ。
1つは東京オリンピックの開催延期。この時期はプロ向けの高級・高額なカメラが売れるから、ニコンとしてもそれに向けて新製品の投入や各種イベントを用意していたはずだ。ところが東京オリンピック開催が延期され、目論見が大きくハズレた。
それに追い打ちをかけたのがCOVID-19による外出自粛、県を跨いでの移動自粛。外出機会がなくなればカメラの出番はなくなるし、新商品が発表されても購入意欲が湧いてこない。かくしてカメラの売れ行きが落ちる。
こうした動きはニコンにだけ降りかかるわけではないが競合他社に比べカメラ事業の売り上げが大きく占め、カメラ専業メーカーの様相さえあるニコンが受けるダメージは大きい。
今年1月以降、株価が大きく下がっているのはニコンとキャノンでオリンパス、ソニーの株価はアップすらしている。因みに2018年秋に2100円超だったニコンの株価は2020年10月29日の終値は650円まで下がっている。
ここまで下落した株価を見れば、ニコンは大丈夫か、と本気で心配せざるを得ない。もちろんニコンも手を拱いていたわけではない。新規事業の立ち上げも行い、カメラに替わる柱育てようとしているが、それらが育つには少なくともまだ3年はかかる。それまでニコンの体力が持つかどうか。
ニコンミラーレス一眼カメラのキャッシュバックキャンペーン一覧
・2019年11月1日〜2020年1月14日 Nikon Z7、Nikon Z6
・2019年11月22日〜2020年1月14日 Nikon Z50
・2020年2月6日〜2020年3月31日 Nikon Z7、Nikon Z6、Nikon Z50
・2020年6月30日〜2020年9月30日 Nikon Z7、Nikon Z6、Nikon Z50
・2020年10月22日〜2021年1月11日 Nikon Z50
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