マックスバリューの移動販売は直営で、この点が「とくし丸」と大きく違う特徴で、それぞれに長所、弱点はあるが、無視できないのは採算。
理念は素晴らしくても最終的には経済効率がモノを言い、採算が悪いから撤退というのはよくある話で、その点はマックスバリューとて例外ではない。
「採算面については全体ではほぼ計画通りに推移している。直営化することでお客さまの必要とされる不採算地域への導入と収支がとれる地域への導入を地域・時期・投資をコントロールし、地域とつながりを強化し運営している」(同社広報担当者)
そうはいっても実際に移動販売車で回ってみると当初の予想と違ったこともあるに違いなく、その場合はどうするのか。
「最初のコース設定に問題あったりすることもあります。地域の自治会長さんとかに挨拶をし公民館とかの場所を借りられると人も集まって来るので、その辺の見直しをしている所もあります」
要は人が集まりやすい場所を確保できるかに集客、売り上げが左右されるということであり、その辺りの交渉力が求められるようだ。
最後に気になるのが継続性。「採算面については全体ではほぼ計画通りに推移」とのことだが「コロナ収束に伴い利用客は減っている」(広報担当)「コロナ後、売り上げは少し落ちてきた」(現場担当者)と、コロナ収束とともに実店舗の方に客足が戻り、移動販売の売上が減っていると認めていたが、地域の高齢化は今後も進むため、買い物弱者にとっては目の前で商品を選びながら買える唯一の方法であり、短期的な収支ではなく長期的な視点が必要になるだろう。
長期的な視点での取り組みという意味では企業体が直営で行っているマックスバリューの「おまかせくん」に分があると思われるが、もう少し広報し、存在を知らせてもいいのではないかと個人的には感じる。
いずれにしろCOVID-19をきっかけに小売りの形態は大きく変わりだしている。大型店がなくなることはないだろうが数は減少していくだろうし、消費者の一部はネットスーパーや各種ネット販売に流れるだろうが、ネット、実店舗のどちらかだけで買い物をする人はそれほど多くなく、ネットと実店舗の両方を利用していると答えた人が半数以上という調査結果もある。
高齢者数は今後増えていくし、買い物弱者は地方だけでなく都市部で急増し、移動販売の必要性は増すだろう。その時に備えた陣取り合戦は緒戦が始まったばかりだ。
#マックスバリューの移動販売 #おまかせくん
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