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旧態依然の地方政治、ハコモノ行政に群がる人達(2)


 総工費40-50億円の工事と聞けば、その一部でも自分に回ってくれば、と考えるのだろう。土建業者や彼らが行き付けの飲食関連業者や宿泊関連業者が「たぬきの皮算用」をし、群がっていく。町の将来を案じ、地域をなんとか活性化させたいと多少とも真面目に考えている(?)若手も、描かれる「夢」に町の将来像を重ね合わせて「夢」を見る。それが同床異夢だとも気づかずにか、それとも40-50億円の行方に薄々気付いていても、やはり多少ともおこぼれに預かりたいと思うのか。
 当初、若手はそんなカネに群がるはずはないだろうと考えていたが、選挙結果に如実に現れていた。「3.11」後、東北に流れた原発マネーとは比べ物にならないにしても、同じ構図が見られる。

後を絶たないハコモノ行政

 実はこの地方には先例があった。平成の市町村合併で市になる前のS町時代に、総工費90億円超を投じて、山を切り開き豪華な新庁舎を建設していたのだ。
 一帯は日本庭園や西洋庭園を備えた広大な公園でもあり、美術館、図書館、レストランを併設した建物はまるでローマ時代の建築を模したようだし、敷地内にはホテルまである。
 そして、もちろん新庁舎建設当時の町長名を刻んだ石碑も。本人の銅像がなかったのがせめてもの救いだが、ここの造成に関わったのは町長の身内だという噂がある。身内、お友達に便宜を図る体質は上は首相から下は町長、村長に至るまで安倍、菅の例を出すまでもなく、現在まで延々と続いているようだ。

 ところで、総工費90億円超を投じて造成した敷地に建設された分不相応に豪華な庁舎は今どうなっているのか。周辺町村と合併して町から市になった時点で市役所支所に格下げになり、広々とした役所内の大半は空気が占めている。なんともモッタイナイというか、維持費がバカにならないと思うが。

 こんなに立派な建物と広大な敷地があるのだから、なにも40-50億円をかけて新市庁舎を建設せずとも市役所をそこに移せばいいようなものだが、それでは自分の功績(?)にならないから、そんなことは考えもしないのだろう。

 ところで今回の市議選には前哨戦があった。昨夏7月の市長選である。詳細は省くが、議会と市長が対立し、議会から百条委員会を設置されそうになった市長が、それを避けて辞職し市長選に持ち込んだ。当然のごとく本人は再出馬し、再選したのだから茶番と言うか、「民意」もおかしいというか、よく分からない。
 地方政治はそんなものだと言われるかもしれないが、それが事実なら、それが他の地方でもよく見られることなら、今後、地方は廃れる一方で、地方再生など夢のまた夢だろう。

 さて市議選の結果はどうだったのか。現職6人が落選し、若手を含めた多くの新人が当選していた。落選したのは反市長派の前職がほとんどで、新人はすべて市長の肝煎りで立候補した「刺客」候補。
 その結果、議会の勢力図は一変した。選挙前は市長派、反市長派が半々で拮抗(議長を除く)していたのが、反市長派は3-4人に激減し、市長派が圧倒的多数を占めたのだ。
 その先には40億円超を投じて市庁舎を建設する計画が待ち受けており、それが承認されることになるだろう。その建設費がやがて税金として住民に圧し掛かかって来るのは間違いない。
 それにしても人間とはつくづく進歩も反省もしない生き物らしく、悲しくなる。

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