「コロナ」が変えた社会(2)〜減少する売り上げ、増加する犯罪(3)
〜人間関係は希薄に、犯罪は増加する


人間関係は希薄に、犯罪は増加する

 最後に「ポストCOVID-19(コロナ)」の社会で大きく変わるものを。1つは人間関係だろう。ソーシャル・ディスタンシングが世界中で力を持ち、COVID-19が落ち着いた後も人々は以前のような人間関係に戻らないだろう。人と人との物理的距離は、ある程度そのまま維持継続されるに違いない。
 その結果、ソーシャル・ディスタンシング(人と人との物理的距離)がソーシャル・ディスタンス(社会的距離)に変わっていく。
 物理的距離が精神的距離に影響する(連動する)というのは心理学でもよく言われるように、物理的距離を離しているうちに人間関係が疎遠になっていく。俗っぽい言い方をすれば、遠距離恋愛がうまくいかないのと同じだ。

 加えて日本人はマスクをよくする。冬は特に。マスクをしていると口をあまり開けないから言葉が不明瞭になり、相手は聞きづらい。喋る方もマスクのせいで口を開けづらくなるから、ついつい口数が少なくなる。その結果コミュニケーションが減り、近くの人同士の人間関係も少しずつ希薄になっていく。

 人間関係が希薄になれば他人に無関心になる。それでなくても「隣は何をする人ぞ」というのが都市生活だ。それが地方都市にも広がっていき、コミュニケーションは大幅に減少し、他人に無関心で、自分中心の社会が広がっていくだろう。
 ポストCOVID-19で待っているのは、そんな味気ない社会だ。

 逆に犯罪は増加していく。COVID-19によって社会に様々な歪みが生じたからということもあるが、犯罪を容易にする社会が現出したと言える。
 犯罪が容易な社会とは覆面社会である。ここで言う「覆面」は文字通りの覆面のことで、今、誰も彼もがマスクで顔を半分隠しているが、そのことを奇異に思う人はいないだろうし、不気味だとも思わないに違いない。それどころかマスクをしていない人の方を訝しがったり怪しむ目で見ている。

 梅雨が明け、陽射しが強くなればサングラス姿も増えるし、帽子も被るだろう。そうなると顔を完全に隠したのと同じで、相手の性別、年齢も分からなくなる。そんな格好の人を見れば、以前なら警戒心を抱いたはずだが、今は誰も驚かないだろう。そこら中にマスクで顔を隠した人がいるのだから。

 最近は顔認証システムが進んでいると言っても、すべての監視カメラに最新鋭の顔認証システムが搭載されているわけではない。例えばスマートフォンの顔認証システムはメガネをかけたぐらいでは認証するが、マスクをすると、つまり顔の半分を隠すと認証できないのだ。
 マスクにサングラス、帽子姿の人間がコンビニエンスのレジに近付いて来ると、以前ならレジ前の店員は身構えたに違いない。しかし、COVID-19の流行以後、コンビニに入って来る人は誰も彼がマスクを付けているから身構えるといっても誰を警戒すればいいのか分からない。全員に警戒心を抱いていれば1時間で身も心も持たなくなるだろう。金融機関の窓口でも同じことが言える。

 COVID-19は人を見分けられない社会を作り出しているのだ。それは即、犯罪が起こりやすい社会でもある。それでなくても犯罪の「グローバル化」が進みつつあるというのに。
 我々は今後、そんな不気味な社会を生きていくことになりそうだ。

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