目を覆いたくなる政治家の質低下(1)
〜「Go to Localキャンペーン」を(1)


栗野的視点(No.703)                  2020年8月21日
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目を覆いたくなる政治家の質低下(1)
      〜「Go to Localキャンペーン」を

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 7月下旬のある日のこと、何やら外がうるさい。マイクで誰かががなっている声が聞こえてくる。おいおい、いくら何でも大声で叫ぶのはマズイだろう。まさか、こんな田舎で街宣車でもなかろう? と、外に出てみた。
 我が家から50mばかりの距離にある農協の前にちょっと人が集まっていたようだが、私が外に出た時はすでに散会で三々五々帰りかけていた。その中の1組が「今日はちょっと少なかったな。前はもっと集まっていたのに」と何やら不満そうな様子で連れの年配女性に話している言葉が聞こえた。

地方市長選のごたごた

 その数日後、高校の同級生が突然訪ねてきた。「今日5時から市長選候補のA氏の演説がここであるから」と言い、新聞記事のコピーと1枚の紙を渡し「読んでくれ。5時には僕も来るから」と言って帰った。新聞の見出しには「美作市政 混乱の市長選」とあった。

 それより少し前、岡山市内の友人から「美作市長が辞任するとかしないとかで選挙があるらしいよ」と聞いてはいたが、それがこれのようだ。
 きっかけは教育長人事をめぐる市長と議会の対立らしい。どういう経緯か分からないが、市の学校や教育委員会の勤務実績がない他市の元小学校校長を教育長に任命し、それに対し議会が異議を唱えたことから市長の辞職発言になり、市長選へという流れになったようだ。

 部外者の目には市内勤務の実績があってもなくても関係なさそだし、しがらみがない他所者の方が面白い面もあるのではと思うが、どうもそういう単純な話では済まないらしい。
 むしろ市長とのしがらみが一杯あり、そういう面からも議会が反対したのか、あるいは市長の独断専行的なやり方に市議達が反対したのか分からないが、どうも現市長は評判が芳しくない。特に岡山市民の間では。
 というのも、このご仁、美作市長の前は岡山市長だった。その時の評判があまり芳しくなく、少なくとも私が接した人で、彼のことをよく言う人はいなかった。

 岡山市民がよく言わないのは市政を途中で投げ出し、国政に挑戦したかららしいが、もちろんそれだけで「あれ(彼)はよくない」と言われるわけはなく、もう少し突っ込んで尋ねると、どうもハード優先の市政(姿勢)だったようだ。
 今時でもハード優先? と首を傾げざるを得ないが、権力者にとってハードは旨味があるというのは昔も今も同じようだ。
 そういえば美作市に合併前の作東町長は山を切り開いて豪華な庁舎を建設した。その仕事を請け負った業者は町長の親戚という噂話を後に耳にした。まあ、その真偽は別にして(おそらく真だろうと思うが)田舎町によくもまあこんな施設を、と思ったものだ。
 億単位のカネがかかっているわけで、それは全て町民税だ。誰も異を唱えなかったのかと不思議でたまらない。都会なら市民団体から訴えられていい案件だし、私が町民なら元町長を訴えたいところだ。
 その後、平成の大合併で美作市になったから当時の庁舎は支所になり、巨大な廃墟一歩手前。よくぞまあ、これだけ無駄遣いをしたものだと見る度に思う。興味がある人は一度、作東バレンタイン・パークを訪れてみるといい。

 さて件の市長。こういう過去の「旨味」を知ってか知らずか、美作市長になってからも相変わらずハード優先、とても実現不可能な夢のような計画ばかり打ち上げている。少子高齢化が進んでいるこの時代、税収が減ることはあっても増えることがないのは素人目にも分かる。それなのになぜ、と思うが選挙になると別の力学が働くようだ。

 突然訪ねてきた同級生は市会議員で反市長派。美作市議会は市長派、反市長派が同数で1票の差で決まる。ところが議長は反市長派で副議長が市長派。議長は裁決に加われないから1票の差で市長派が優位になっていた。その関係に狂いが生じたのが5月の副議長の死。
 市長としては自派議員を1人増やし、再び優位に立ちたいところだろう。細かい経緯は省くが、先の教育長人事を巡り「議会が混乱した責任を取り」辞職願を提出し、「民意を問う」と市長選に立候補し選挙戦に突入した。
 この時期に市長選などやっている場合ではないだろうと思うが、国会でさえ閉会しているような体たらくだから地方の市政がどうのこうのとは言えそうにない。
                             (2)に続く



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